過去の実績

さて、この実績数字に対し、ご相談件数などを含めると、おそらくその10倍（1万件以上）になると思われます。この数字が意味するもの、私の視点からすれば単に成約率に過ぎないのですが、お客様の視点から分析すると10組のご相談があっても1～2組しか成し遂げられない事を伝えたかったのです。
そこには2つの大きな要因が立ちはばかり、それは人為的と自然的の要因が挙げられます。 例えば、都合、事情、予算、情勢、そして天候、気候変動、天災地変　などなど挙げてしまえばキリがありません。つまり夢を叶えるには、“お客様の強い意思” が大前提となりますが、そこに出会いや人との関わり、そしてタイミングや運なども味方してくれることも大事で、それら全てをクリアしないと、なかなか達成できない事を意味しております。 勿論、人為的にできる事は100％目指し全力を尽くす気持ちでおりますが、フィッシングツアーには、どうしても魚や自然相手の要素が多く含まれている為、どんな結果になるか予想がつきません。全く思い通りにならない事も多々あり、時にはお客様に悔しい思いをさせてしまった事もあります。
私がお客様によくお話するのは、もし達成が100％とするなら、まずお客様が25％まで上げて頂き、私がそれを50％まで引き上げます。この半分が人為的に出来る最大限であって、あとの50％は（人間が関与し得ない）自然と魚が相手なので、その時の状況と運に任せましょうと申しております（理想的には、自然の力も借りて↑75％ぐらいにまでは上げたい気持ちです）。
大自然を前に、人間の力なんて余りにもちっぽけで無力である事を肝に銘じておかないとなりません。そして主導権はいつでも自然にあり！そうお客様にお伝えしております。

そして、海外フィッシングのコーディネーター時代に掲げていた私のポリシーが2つあります。 自然と魚を相手にする以上、自然の力に逆らわず、そこに生息する魚の環境と資源を最優先にすること。そしてお客様を相手にする以上、お客様の安全を第一に考え、かつ私が持っている知識・情報・技術・人脈を最大限に生かし、お客様の夢に向かって今できる事に最善を尽くすことです。
そして、法規や規則を守り、お客様の命を預かるわけですから、誰よりも慎重であり、かつ臆病であることがコーディネーターの素質として大切だと私は考えております。危険やリスクを恐れなくなるとコーディネーターとして失格です。これら芯となるものを自分の中で確かなものにして、初めてお客様の前に立つことができるのです。

さて、日本から見る海外フィッシングツアーの歴史そのものは、1970～80年代頃から始まったと思われますが、どちらかというと著名人や釣番組の世界であり（莫大な費用がかかっている）、我々一般人からすると、あまりの高嶺の花で 全くの別世界であったことを記憶しております。それが90年代～2000年頃になると、日本でも国際化が浸透し、徐々に一般家庭にもインターネットが普及し海外への関心が強まりますが、それでも海外フィッシングツアーは依然として業界人や玄人嗜好な傾向がありました。海外では、本来誰もがもっと気楽に楽しめるように設定しているのですが、日本ではあえて上級者向けに敷居を高くしている感じがしてなりませんでした。
その敷居の高さ（イメージ）については、海外で活躍するフィッシングガイドから、耳にタコができるほどよく聞かされており、エントリーする初心者のお客層も楽しますことができなければ、私達ガイドも、あなたもコーディネータとして失格だと、よく言われたものでした。
私は常に「お客様の気持ちになること」、「お客様の目線になること」という2つのスローガンを掲げ、その敷居の高さを崩してきた13年間でした。

世界で憧れていた魚を初めて手にした時の笑顔と感動のご報告は嬉しくてなりません。 ただ冒頭でも述べた通り、いくら海外フィッシングツアーといえども、自然相手の要素が多く含まれている為、結果も思い通りにならない事も多々あります。これは、初心者からベテランのお客様問わず、どうしても越えなければならない1つの壁でもあります。
そこで、この海外フィッシング入門編では、これらギャップやリスクを少しでも軽減する為、私の経験則や基本情報（シーズン、潮、状況、釣具タックルの説明、実績のあるルアー、傾向や対策、レギュレーション、成功率や失敗率、メリットやデメリットなど）を前もって提供し、その中でベストなコーディネートさせて頂くのは当然ですが、お客様目線で感じた貴重なご意見や面白いアイデアなども積極的に取入れ、改良に改良を重ね、時代が常に変化しながらでも、最新情報を持ってお客様に接する事を心がけておりました。
それを可能にするのは、常にツアーにご参加頂くお客様あっての事。その大切な繋がりが過去～現在、そして～未来へのかけ橋になっていると実感し感謝に尽きませんでした。
私がビジョンを立て、それに協力してくれる優秀なスタッフやガイド達がおり、最終的にそれに賛同するお客様がいてくれるからこそで、その3本柱の絶妙なバランスで成立っております。

これはフィッシュナビならではの特徴ですが、 あくまでも最初のキッカケを作るのが私の役目ですので、その後のお客様を囲い込まないのが私のスタイルです。2度となれば十分な経験者となり、3度目となればベテランの域に近づいていくことになるでしょう。そうすると自然に多くの出会いや人との関わりが増え、またお客様ご自身でも探求するようになり、方向性がシッカリと見えるようになってきます。
そうなれば、私としても御の字であって、いずれはフィッシュナビを卒業し新たなステップで活躍する姿を見るのも楽しみで、アフターケアの一環として、その後押しや土台作りなども行っております。これだけ釣りや魚の分野は細分化している訳なので、更に奥の深さを追及されたい場合には、その道に長けた同業他社さんを紹介し、またお客様と現地ガイドが良い関係を築けば、（私を通すことなく）直接やり取り頂けるように移行してまいりました。
結果、お客様にとって、関わる人達にとって、また魚の世界にとってプラスになる事が、フィッシュナビの存在意義であり、これが私の仕事や活動の原動力にもなっております。

今となっては、海外フィッシングツアーの1ジャンルとして定着しつつあるハネムーンフィッシングですが、フィッシュナビを立ち上げた当時（2005年）は市場的にもまだまだ少なく、それを広める事はおろか、私自身が最初のハネムーナーのお客様を送客するまでに、何と1年以上かかったのでした。
当初、私がお客様と話をしていて一番に感じたのは、仮にお客様が釣好きであってもハネムーンはハネムーンとして、趣味のフィッシングは全く別物として使い分けしている事でした。 もちろん、ハネムーンというのは、ご夫婦2人ありきで成立つもので、そこには（釣りをされない）奥様への気遣いもあるのかもしれませんし、もしこれがキッカケで夫婦関係が拗れてしまうのであれば本末転倒なので、私もこれ以上に無理強いすることはありませんでした。
当初、私が描いたシナリオでは、釣人にさえ広がれば、類は友を呼ぶ勢いでハネムーンフィッシングが広まるものだと思っており、釣人視点で物事を考えていたのですが、全く結果が伴わず、私の不甲斐なさを感じる日々でした。 挙句の果てには 「ハネムーンとは一体何か？」 なんて哲学的思想にふけてしまうほど、真剣に悩まされたのを今でも覚えております。

そんな私に1つの転機が訪れたのは、とあるハネムーナーのお客様との出会いで、後にハネムーンフィッシング第一号のお客様になってくれた方でした。
それは “釣りを全くされない奥様” からのご相談で、お話をお伺いすると、「ウチの旦那は釣好きで、このハネムーン機会に大きな魚釣りにチャレンジしてみたい」という内容でした。その奥様とのやり取りには、釣りや魚の会話は一切ありませんが、何故か不思議なことに、確実にハネムーン・フィッシングツアーの核心に向かっていくのでした。
そんな奥様の質問や会話、そしてこの一連のやり取り1つ1つが私にとって大発見で、これまでに私に足りなかったもの、何が必要かを全て教えてくださった気がします。
しかし、私からすれば（釣りや魚専門とうたっているだけに・・・）、こんな呆気ない幕開けでいいのかと心配しましたが、それら全ては私の杞憂に過ぎなかったようです。
そんなお客様のハネムーンフィッシングツアーが終わって間もない頃、私宛に1通の手紙が届きました。そこには、「お蔭さまで夫婦念願の夢を叶える事ができ大満足！最高の思い出になりました」と感謝の意が綴られており、そこにはご夫婦が笑顔で寄り添い、大きな魚を抱えている一枚の写真が入っておりました。
それは私が夢にまでみたハネムーンフィッシングの理想像であり、私が知らないところで、私が思っている以上に上手くいっていたのでした。

「ハネムーンフィッシング」、その理想と目指す結果は、お客様も、私も同じベクトルを向いていないとなりませんが、そこへのプロセスやあり方、それを求める人々もそれぞれであって、（絶対にこうあるべきだと）私が決めつけてはならない事を学びました。
これを機に、発想の転換で耳を傾ける相手や視点を “全く釣りをされない奥さん” に変え、奥さんが気軽に相談しやすく、かつ居心地の良い環境を（ソフト面で）整えていきました。 その事で、私の知識や釣人だけへのアプローチでは知る由もなかった、お客様が目指している本当のハネムーンフィッシングの理想像が見えるようになりました。
そんなこんなで、初めの1組を送客するのに1年以上かかりましたが、それが2年、3年・・・、5年、10年・・・、そして13年を経て400組以上のハネムーンお客様と共に歩んでいると、その時代における挙式やハネムーン事情やその価値観、またハネムーナーの取巻く状況や（目に見えない）関連性などが手に取るように分かるようになりました。
やはり自身の経験により学ぶことや、失敗や成功を経験しないと知り得ない事も多々あり、そうやって紆余曲折を経て私なりのハネムーンフィッシング哲学が出来上がったのでした。

のちに各世界のフィッシングガイド達からは、フィッシュナビはハネムーンフィッシング専門会社か？と口を揃えて言われたほどでしたが、それは私と一緒に仕事をすると、ハネムーンや挙式のお客様が100％関わるからで、ガイド歴数十年ものベテランフィッシングガイドですら、ハネムーナーのお相手は新鮮だったようです。
これは、ハネムーナーのお客様の取巻く環境を（自分なりに）徹底研究し、お客様によい思いをしてもらいたい一心で作り上げたもので、私の気持ちの現れだったのかもしれません。