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フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮彫りにしていきたいと思います。自然が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆さまにとって何らかの情報になれば幸いです。何気ない散歩道が、もしかしたら今までにない輝きを放ち “特別な場所” に変わるかもしれません。
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イタマス(肥大化した海産サクラマス)の炭火焼きを食べる 

  • 2016/06/08 12:27
  • カテゴリー:日記

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今日のお題は、真マス(まます)です。
東北~北海道地方では海産サクラマスのことを “真マス” と呼ばれ、春~初夏にかけて東北~北海道の沿岸地域の定置網などで漁獲されます。いわば季節限定の旬な魚ですね。

私は生まれも育ちも神奈川県ですが、東北にも深い縁がありました。
それは私の出身校は北里大学(水産学部)で、その水産学部のキャンパスが東北にあったからです(岩手県三陸町越喜来/現大船渡市)。そのため、魚好きな私が水産学部に行くことも、その結果、東北で暮らすことも、そしてここで真マスに出会うことも、今思えば必然的だったのかもしれません。そこで初めて “旬の真マス” を食べた時、あまりの旨さに感動!もう卒業してから20年近く経ちますが、その感動は今でも忘れる事なく鮮明に残っています。

因みにタイトルの「イタマス」とは何かを説明します。
初春~初夏になる頃、東北の沿岸で真マスが漁獲されるようになり、鮮魚店では大小様々なサイズの真マスが並びます。その中でひときわ目立つ真マスがおり、それは胴体だけがあまりにも肥大化しすぎて、頭や尾が小さく見えてしまうほどで、その体型は「流線形」 というよりむしろ「ひし形」に近い。そんな肥大化した真マスは、板のように見えることから「イタマス」と呼ばれております。

真マスの値段は、その時の漁獲量やサイズ(重さ)相応でピンキリですが、通常50センチぐらいの真マスだと3~5千円レベル!もし大きなイタマスを1本買おうなら1万円を軽く超えるでしょう。勿論、当時学生だった私が真マスを買えるはずがなく、それを凌駕するイタマスが登場すると「ありゃ~すげぇな~」と、畏怖の念を抱いて見ていたのを憶えております。おそらく一般家庭の食卓向けというより、料亭などに流れるのかもしれません。

そんな当時の私に真マスをもたらせてくれたのは、アラ(切落とし)の存在でした。これは安かったです!ただ切落しだからといってバカにはできなく、カマや頭だけでなく、腹身や時に大きな切身までもが入っており、そんな大ざっぱなアラだって味は同じで、丁寧に塩焼きにして食べるのが私にとって極上のひと時でした。

では、食の観点で、サクラマスの生活史に触れてみます。
サクラマスの寿命は、約4年といわれております(中には前後する個体もいますが)。
また後で詳しく述べますが、初めはヤマメとして川で孵化し、その一部がサクラマスとして海へ下る準備をします。そして数年間にわたり親潮の大海原を回遊してスクスク育ち、4年目に春に母川(生まれた川)のある沿岸に接近し、春~初夏にかけて川に遡上し、秋には産卵して生涯を閉じます。では、体(身質)にどういう変化が起きるか・・・というと、若魚のうちは成長段階なので脂肪が少ない(=あまり脂がノっていない)ですが、それが4年目(産卵する年)に入ると最後の仕上げと言わんばかり急成長します。これは同じ生活史を送る鮭(北半球のサーモンも含む)に関しても同じ事がいえます。

毎年3月ぐらいになると、“旬の走り”として魚屋でも見かけるようになりますが、脂のノリはまだまだな気がします。それが4月~5月にかけて更に大型化し、肥満度とウエイトがピークに達します(まだ生殖線が小さいです)。そして6月を境に、それ以降は秋の産卵に向けて生殖腺(筋子や白子)に栄養を取られていくので身がどんどん痩せていきます。
その為、「食」に関して言えば、ベストシーズンは初夏(4月~6月ぐらい)、大型で太った真マスを見かけたらそれは間違いなく「買い」でしょう。もし1本あたりが4~6kgクラスの大型真マスの場合、切身で換算すると一切れ当たり500円以上するかもしれませんが、それでも買いです。高くてもこの魚の味は絶対に裏切りません。

素材そのものが良いので、料理はシンプルでありながら王道の「塩焼き」が一番美味しいと思います。脂がとても旨くコクのある魚で、炭の火力が強いと脂に引火して炎上してしまうので、私は火力が落ち着いてから脂を落さずジワジワ焼くのが私の好みです。

そしてもう一つ、真マスを美味しく食べれる料理として西京焼きがあります。もともと味噌との相性が良いのですが、コクと旨み、そして香りを味わう事ができます。切身を2日間ほど漬けると適度に水分は抜け、味噌の旨みを吸い身質がギュっと引締りこのように透明感のある濃厚なオレンジ色になります。これでだいぶ保存も効くようになり、違う方面からも真マス料理を楽しむ事ができます。ただ西京味噌には糖が含まれているのでので、気を抜いているとまっ黒に焦げになりますので、塩焼きの時よりも火加減にご注意ください。

追記)
こんどは学術的な観点で、サクラマスについてもう少し詳しく書きたいと思います。
因みに、サクラマスというのは、=ヤマメ のことなのですが、ヤマメは河川残留型(川に残るタイプ)、サクラマスは降海型(海に下るタイプ)であり、同じヤマメなのにそれぞれが異なるライフスタイルをもつようになります。いずれも、はじめはヤマメとして孵化しますが、その中でサクラマス化する個体には顕著な変化が見らえるようになります。それは体のパーマーク(黒の斑紋)が消え “銀毛化・端黒化” し、海に適応できる体が出来上がると、いよいよ海へ下る準備をします(※)。

※)銀毛(ぎんけ)・・・・鱗が銀白色になる事(=スモルト化ともいいます)
※)端黒(つまぐろ)・・・ヒレの先端だけが真っ黒になる事

また銀毛化(サクラマス化)すると、闘争に関与するホルモンが減少し(→争いなく群れで行動するようになる)、成長ホルモン増える(→体が大きくなる)など、ホルモン分泌なども関与していることが解明されており、これは海だけでなく、湖でも同様にサクラマス化の現象が起きます(これを、陸封型のサクラマスといいます)。
餌の少ない渓流では、餌にありつける場所をめぐり縄張り争いが絶えませんが、餌の豊富な大海原では群で行動した方がハンティングの効率がよいのでしょう。

でも遺伝子的にはヤマメもサクラマスも同じなので、例えば、♂ヤマメと♀がサクラマス(その逆でも)が交配しても、同じヤマメやサクラマスが生まれるわけで、それは自然下でもごく普通に行われております(勿論、学名も同じです)。ただ、生まれてくるヤマメとサクラマスの比率については、不思議なことに緯度が高くなるにつれて降海型(サクラマス)の割合が多くなる傾向があります。
例えば・・・、自然下において、関東だと殆どがヤマメであるのに対し、東北や北海道にまで緯度が上がるとヤマメとサクラマスの割合がおよろ半々に、そして更にロシアにまで緯度が上がると全てサクラマスになり、ヤマメがいない・・・という現象が起こります。

ただ、何故ヤマメがこのように二極化の形態をとるのか?・・・は、分かりませんが、サケ科独自の子孫の残し方の形態の一つと考るしかないでしょう、そう私は答えております。

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