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フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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★珍魚★ ヌタウナギを食す ~湘南産~

  • 2013/02/22 22:21
  • カテゴリー:日記

20210218155335.jpeg

私は小さい頃から長モノ(=長い魚/ドジョウ、ウナギ、ナマズ、アナゴ、などなど・・)が好きで、先週の巨大ゲンゲことババちゃんの記事を書いて心は満たされていたのですが、そんな長モノに新たな刺客が現れました。それは「ヌタウナギ」です。

ヌタウナギとは?
学術的な細かい説明はここではしませんが、いや、ちょっとだけ説明しときましょう~。ヌタウナギについて補足説明をすると、図鑑などを見ると厳密的には「魚類でない」と書かれている場合もありますが、それはヌタウナギが魚類の定義(脊椎動物である事/鰓呼吸/鰭/鱗)を満たしていないからだそうです。ただそれだけで「魚じゃない」という表現をするには、あまりにも不自然で無理があるので「脊椎動物へ進化する前の原始的な魚類」という広域な解釈でいいんじゃないかと私は思ってます。要はそれだけ原始的な魚であり、脊椎動物の起源を辿る上で重要なポジションであることは間違いなさそうです。

フィッシュナビ的(八鳥的)に分かりやすく言うと、ヌタウナギは骨格を持たない(=つまり驚くほど柔軟な体の持ち主)ので、本来脊椎のある生物にはない可動域をもっております(上記画像より)。後でも述べますが、脊椎がないといっても実際に輪切りすると真ん中に半透明の芯が1本通っており、これが原始的な脊髄に該当するのであろう(茹でたマロニーのような感じです)。

ファイル 163-3.jpgファイル 163-5.jpgファイル 163-6.jpgファイル 163-4.jpg

さて、食に関してどうだろうか?
私が調べる限りでは、意外に食した人が多く韓国や北日本などでは食べる習慣があるようです。そして誰もが(味に関して)高評価を出しており、だんだんヌタウナギを食べてみたいという衝動に駆られたのでした。幸運な事に、ウチの近くの港でヌタウナギ専門漁をやっている漁師がいて、そこでヌタウナギを売っているところがあります。正確にいうと、アナゴ漁の外道として良く獲れるそうで、韓国料理屋などでは人気がありそれなりに需要があるようです。

まずは2kg(約20本分)を購入。
ヌタウナギは既にグッタリしていたので「こりゃ捌くのが楽だな」と思い台所に解放した瞬間、一斉に大暴れ生命力の強さにビックリ。興奮したヌタウナギからは大量のヌタを放出!手に、包丁に、まな板に、シンクに…ヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメ攻撃で収集がつかない事態に。

さらに驚くべきは、その皮膚の頑丈さです。皮膚はとても薄くて柔らかいのですが、まず手では破れませんし、鋭利な刃物でもそう簡単には貫く事ができません。これを身にまとう事で、万一深海の牙魚に咬まれる事があっても、致命傷にはならないのでしょう。
体からヌメヌメは出すわ…体が柔らかすぎるわ…、格闘技界でいうなら最高のヒールであり最高の柔術家であろう。この原始的なフォルムこそ、実は完成形であり最強なのかもしれませんね。

捌くと…
ヌタウナギ1匹あたり約100gのウエイトがあります。それに対して頭・皮・内臓を取り除き、可食部だけの重さを計りました。そうしたら可食部はたったの30g(つまり=30%)、「歩留り率」の悪さには驚きましたが、苦労して得た身はやはり美味しかったです。身を輪切りにすると芯には柔らかい(マロニーのような感じ)が通っているだけで骨という骨は全くない(上記画像より)。先にも述べましたが、皮はとっても頑丈で、これは世間でもよく知られている「ウナギ皮財布」とはこのヌタウナギの皮が原料なのです(私も持っていますよ)。私もその皮を何かに使おうかなとも一瞬考えましたが、ヌメヌメ攻撃を受けた私にはそんな余裕はありませんでした。

料理はニンニク醤油で下味をつけてそのまま竜田揚げにしました。不快な匂いやクセもなくとても美味しいと評価します。食感に関しては、魚の肉感は一切なく、肉でもない感じ。強いていうなら、ホルモンを食べている感じがすると言った方が適切かもしれません。ただホルモンのようなゴムゴム感はなく歯切れが良く(砂肝のような食感)とても美味しかったです。

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