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フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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エントリー

カテゴリー「鎌倉の自然」の検索結果は以下のとおりです。

テレビ朝日「私の幸福(しあわせ)時間」に出演します。9月4日(水)よる8時54分~

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「私の幸福時間」撮影スタッフと私

★番組タイトル:私の幸福(しあわせ)時間
★チャンネル日時:テレビ朝日 9月4日(水)夜8時54分~(2分)
★放送エリア:関東7都県と山梨県

ユーチューブでも配信されております(↓)
【私の幸福時間】2024/09/04(水)放送 No.610 神奈川県/川の生物の観察

この番組は市井の方々の「趣味」や「幸せな時間」を紹介する2分間のミニ番組で、毎週5日間(火~金曜日)よる8:54分~(土曜日:よる9時54分~)放送しております。
9月3日から「神奈川県編(5篇)」が始まり、9月4日(水)が私の回です。キッカケとなったのは、大船の街中を流れる川に生きる逞しい魚たちに興味を持ったようです。
番組ディレクターは自然と生物をこよなく愛し、番組制作への熱い想いを感じましたので、私も最大限に協力することをお約束しました。
今回の目玉は、鎌倉淡水魚撮影の中でも最難関といわれる「オイカワの産卵シーン」を映像化すること。それを最大の目標に掲げ、7月中旬~下旬にかけてロケが行われました。

★今月の1枚(2023年7月号)~山の便り~

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早朝撮影で山に入ると、何とノコギリクワガタが姿を見せてくれました(鎌倉台峰にて、6月28日/朝6時撮影)。私が子供の頃(昭和50~60年代)、クワガタやカブトムシは夏休みに捕っていましたが、まさかこんなに早い時期に活動しているなんてビックリでした。辺りは発酵した樹液の香りがプンプン漂い、よ~く耳をすますと、樹液が「ジュクジュク・・」わき出る音、クワガタ同士が「ガシャガシャ」戦っている音、「ブゥ~ン」と飛ぶ羽音、様々な音が聞こえます。
写真を撮るのが私の役目、採集するのは子供たちの役目です。山崎小学校の皆さん、クワガタ採りたい方は台峰のクヌギ林にGOです!

★今月の1枚(2023年5月号)~野イチゴ狩り(鎌倉)~

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初夏のプチ味覚、鎌倉の野山にて。数ある野イチゴの中でもトップクラスの甘さを誇る「モミジイチゴ」。この甘さは野鳥たちも知るところで、まさに野鳥との勝負です。この在処を知ったのは4年前ですが、いつも甘く熟すタイミングで野鳥に先越されていました。そして5年目にしてやっと(少しだけ)ありつけました。

★今月の1枚(2023年3月号)~春の恵み~

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桜が開花し、やっと鎌倉の山々も春らしい景色になりました。お花見を兼ねて裏山のピクニックで採ったタラの芽、夕飯のおかずの1品(天ぷら)になりました。ここでタラの芽に関する雑学を1つ。山に自生しているタラの木をいろいろ見てると、2つのパターンがあるのが分かります。一方は全身トゲまみれのもの、そしてもう一方はトゲが少なく丸々しているものです。前者は「オダラ」といい、食感はトゲトゲしいけど香りが強く味が濃いのが特徴。後者は「メダラ」といい、肉厚で食感は良いですが、オダラと比べると味も香りも薄いのが特徴です。これらは雌雄関係でもなければ、異なる種類でもありません。自然界でたまたまトゲの少ないタラが突然変異で現れたものだと思われます(因みに養殖のタラ芽はメダラの方が利用されています)。タラの芽は成長が早く、もしこの状態から2~3日放ったままにしておくと、すぐに伸びきって「食べ頃」を逃してしまうでしょう。

さてここでクイズです。この1枚の写真は「オダラ」「メダラ」のどちらでしょうか。答えは、当サイト「鎌倉自然素材館」のギャラリーを参照ください。

★今月の1枚(2023年2月号)~鎌倉ワカメ漁~

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鎌倉の早春風物誌として、沿岸域でよく見られる光景です。
鎌倉でのワカメ漁の口開(くちあけは2月20日(※)、船上から箱メガネで海中を覗き長いカマを使ってワカメを採ります。採れたてのワカメは浜茹され、寒風に晒し3時間ほど干したものが、鎌倉名物「湯がきワカメ」になります。鎌倉ワカメ漁は~4月上旬まで続きます。

因みに、相模湾に浮かんでいる島は「伊豆大島」です。


※)口開(くちあけ):地元漁師の漁の解禁日のこと。

★今月の1枚(2022年12月号)~小学校のお魚授業~

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お魚授業風景(鎌倉市立小学校にて)。
フィッシュナビでは、学校や児童・保護者からのご依頼により、特別(お魚)授業を開催しております。子供たちの質問は十人十色、どんな素朴な疑問でも、本気で向合い丁寧にお応えします!個別(1名)~学年単位(100名以上)まで、ご希望に応じて柔軟に対応。

★今月の1枚(2022年10月号)~アユの産卵(鎌倉市内河川)~

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圧巻のフィナーレ。産卵を控え大集結するアユたち。
春にあれだけ多くの稚アユたちが上ってきましたが、そこから過酷な生存競争が繰り広げられました。大部分は自然淘汰され、結果として生き残ったのがここにいるアユたちです。一見残酷に見えますが、それはどんな生物も例外なく自然界の大原則に従うことになります。

アユは年魚(寿命は1年)、もし人間なら70~80年かけて全うすることをアユはたった1年でやってのけます。もちろん、生物それぞれに異なる時間を持っており、生涯のモノサシ尺度が全然違うのだけれども、それにしてもアユは寿命が短く儚いと感じてしまいます。そしてこの写真が今年のアユ達の見納です(さようなら・・)。
卵は2週間程で孵化し~来年春まで沿岸付近で過ごします。そして桜が咲く頃には次世代のアユ達が遡上し、再びこの川の賑いを約束してくれることことでしょう。

NHK総合・ダーウィンが来た! ~ロケ・番組放送を終えて~

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★最新の撮影機材にビックリ! 

8月14日(日)NHK総合・ダーウィンが来た!「不思議いっぱい!鎌倉生きもの調査隊」番組をご覧頂き、また放送後に多くのお便りを頂き、誠にありがとうございました。

そのお便りの中でご要望が多かった「ロケの舞台裏」について、少しだけお話をしたいと思います。
今回のダーウィンのロケ期間は「春~初夏」でしたので、やはり川の主役を飾るのは若アユに尽きます。映像としては、春に遡上した稚アユよりも、その後に成長した若アユの方が活発で見応えがありますので、ロケは出来るだけ終盤(かつ梅雨に入るギリギリ前)に持っていく必要があり、常に天気予報と睨めっこしながら、撮影スタッフと協議する日々でした。
運がよければウナギがカニを襲うシーン、更に欲を言えば、幻の魚アユカケがアユをハンティングするシーン(もし成功すればスクープ映像!)も番組のメニューに盛り込まれていましたが、残念ながら姿を現すことはありませんでした(予想がハズレすいません)。

撮影は常に自然と向き合います。時には炎天下・・、時にはブユの猛攻・・、時には夜通し・・、そんな過酷な状況下で、みごと鎌倉の自然を表現してくださった撮影スタッフには、心から感謝致します。そして、今回のテレビ放映にまで至った背景には、2年前から鎌倉に棲む淡水魚の話題を取り上げてくださったタウンニュース、それを支えて下さった読者皆さんあってのこと。本当にありがとうございました。

今後の私の更なる目標は、市内の河川を制覇すること。気の遠くなる話ですが、コツコツ地道に調べていきますので、楽しみにしてください。

NHK総合・ダーウィンが来た!「不思議いっぱい!鎌倉生きもの調査隊」

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★ダーウィンが来た!撮影スタッフと私(中央)

皆さんにビッグニュースがあります。
何とNHKの自然番組「ダーウィンが来た!」で鎌倉の自然(山、海、川)が放送されることになり、その川のパートで私が手掛けている鎌倉の淡水魚が取り上げられました。
今年の1月、番組ディレクター(荒井恒人さん)から正式に取材があり、鎌倉の川に生息する魚に注目してくれたのです。荒井さんは鎌倉生まれの鎌倉育ち、鎌倉の自然をこよなく愛し、この番組企画への熱い想いを感じました。もし番組化したら、私も最大限に協力することをお約束しました。
そして3月、企画が採択され番組化が決定。その後はとんとん拍子で、ロケハンを経て、5月~6月中旬にかけてロケが行われました。ここで私の役目は終了しますが、その後も、編集、ナレーション録り、テロップ入れ、試写会、オンエアへと・・、一つの番組が出来上がるまでの道のりは、とてつもなく険しく大変であることが分かりました。

番組ディレクター曰く「鎌倉の川の凄さを視聴者に伝えられるいい番組に仕上がりました」とのこと。山や海のパートもその道に長けた地元スペシャリストが出演、鎌倉の自然を多方面から楽しめる内容です。そして、あの超有名魚とは?ぜひともご覧ください。

★番組タイトル:ダーウィンが来た! 不思議いっぱい鎌倉生き物調査隊
★チャンネル日時:NHK総合 8月14日(日)夜7時30分~(28分)

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★夏休み企画★ 川エビの生態を観察してみよう(鎌倉市内河川編)

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鎌倉の河川には、アユをはじめ、多くのハゼの仲間、ウナギ、モクズガニやエビなどの甲殻類が生息しております。特にこれら生きもの同士に密接な関係はありませんが、共通するのは「海と川を往来すること」で、これらメンバーを目にすることで、ちゃんと海から川に上ってこれてるという証にもなっております。言い換えれば「川で見かける生物ですが、もし海がないと子孫を残すことができない(一部除く)」という意味にもなります。

今回は、夏の川の名脇役である「川エビ」について、お話したいと思います。
初夏の候、水温が20℃を超えるとエビが沸くように発生します。鎌倉で観察できるエビは、大きく分けて3種類、「ヌマエビの仲間」、「スジエビ」、そして「テナガエビ」です。いずれも卵を抱えていることから今が繁殖期なのでしょう(そっと見守ってあげましょう)。そしてよく観察してみると、エビ同士でも力関係があるようで、ヌマエビは植物食性で非常に大人しく、スジエビは雑食性で中性的な感じ、そしてテナガエビは完全肉食性で気性が荒いのが分かります。
川にそっと近づけば、エビ達の団欒している光景をアチコチで見ることができますが、そこに手長エビが迫ってくるっと、ヌマエビやスジエビたちは道を譲るようにスッと退きます。まさにエビの社会性と力関係を垣間見れた瞬間でした。いくら生物の楽園といっても、弱肉強食の世界であることには変わりないようです。

★鎌倉淡水魚紀行★(砂押川編)~5秒間の出来事~

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<写真>
オイカワの産卵場となる砂地はお祭り騒ぎ(砂押川プロムナードにて撮影)
~そこは人間の知らない魚の世界がある~

<本文>
大船という大都会に流れる2河川(梅田川・砂押川)を舞台に、そこで逞しく生きる川魚にフォーカスを当て、観察に秘める新たな魅力を書いてきましたが、それも残すところあと1話に。そこでこの最終話では、私がオイカワの観察をしていて最も驚いた1ショットを皆さんにお届けし、今年の鎌倉淡水魚紀行を締めくくりたいと思います。

この集合写真のもとになるのは、1組のオイカワの産卵からきております。それに周囲も促されもう1組も追加(=計4匹)、その瞬間にメスの争奪戦に負けた下位のオス2匹が強引に割込み(=計6匹)、産まれた卵を目当てに数十匹の魚が群がる(栄養価の高い魚卵は、そこに棲む川魚にとって最高のご馳走である)。その間たった5秒の出来事で、この駆け引きを人目気にせず延々と繰り返しているのです。

<本能の趣くままに>
人間の感覚で見ると、何とも無秩序でかつ残酷に思えるかもしれません。しかし、魚にとっては「子孫を残したい」、「自分の遺伝子を残したい」、「生きるために食べたい」、それぞれが本能の赴くままに行動しているだけであって、そのやり取りには一切の無駄がないことに気づかされます。因みに、オイカワの産卵では300個ほどの卵を産みますが、その中で大人にまで生き残れるのは、ほんの1割にも満たないでしょう。つまり9割以上が他の生物に食べられるわけですが、この収支の割合が自然界では丁度よいバランスになっているようです。
こんな身近な自然でも、多くの発見と学びがあることをより多くの方に知ってもらえたら嬉しい限りです。

<観察する誰もが「新たな発見者」に>
現在、鎌倉市内には名前のついている川だけでも50か所以上ありますが(支流含む)、どこにどんな魚が棲んでいるかは、まだまだ謎だらけです。そのため、もし近所に川がありましたら、是非とも(宝探し的なワクワク感をもって)覗いてみてください。もしかしたら、「こんなところに魚がいる!」なんてことも。その瞬間、何気ない散歩道が“特別な場所”に変わるでしょう。

鎌倉淡水魚紀行(砂押川編)~モクズガニ~

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<写真>
藻を食べるモクズガニ。
警戒心が非常に強く、人の気配を感じるとすぐに隠れてしまいます。

<本文>
盛夏を賑わせたオイカワたちの産卵も終わり、あのお祭り騒ぎから一転。9月に入ると徐々に普段の静けさに戻りつつあります。また連日の雨で川が濁り観察も小休止、今回はお魚以外で、観察の名脇役でもあるモクズガニ(藻屑蟹)について、お話したいと思います。

モクズガニは、市内河川でよく観察できる身近なカニで、特徴的なのは何といってもこのハサミ、まるでチアポンポンをつけているようで面白いです(因みにこれは藻が生えているのではなく地毛です)。そしてこの立派なハサミからして、いかにも凶暴そうに見えますが、実は雑食性(カニは肉食性が多い)で普段は藻などをチマチマ食べております。
モクズガニは、海と川を往来する回遊性のカニで、その生活史はアユと非常に似ております。そのため、秋が深まる頃には(アユと同様)産卵のため海へ下ってしまうでしょう。

これはちょっとした豆知識ですが、このモクズガニは日本古来より食用に利用され、特に「がん汁」などが郷土料理として知られております。私も過去に食したことがありますが、その味は絶品、こんなに美味しいものなのかと。それもそのはず、モクズガニは上海蟹(チュウゴクモクズガニ)の近種で、見た目も味もほとんど同じ、そんなグルメ的な要素も秘めております。

鎌倉淡水魚紀行(砂押川編)~カワムツ(国内移入種)~

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<写真>
カワムツのつがい(上:メス、下:オス/繁殖期は春~夏)。
鎌倉市内では、砂押川と小袋谷川に多く生息しております。

<本文>
大船という大都会のど真ん中で、川魚を観察できる癒しのスポットがあります。それは砂押川のプロムナード区間(大船郵便局付近)で、その立地上、多くの方が利用されお散歩コースとしても人気があります。砂押川とは、今泉にある鎌倉湖(散在ガ池)を水源とし大船地区を流れる川で、最終的にはJR大船駅の真下を潜り、柏尾川へ注ぎます(全長4.5キロメートル、河川規模としては滑川に次ぐ2番目に大きい)。
ここに棲む魚は、前回の梅田川編で登場したオイカワをはじめ、アユなども川を上ってきますが、今回はここ近年になって一際目立つようになった第3の魚「カワムツ」について、お話をしたいと思います。姿かたちは一見オイカワに似ておりますが、体には黒色の太い縦縞が入り、ヒレが黄色いのが特徴です。カワムツはオイカワ同様、日本古来の魚ですが、本来は西日本に生息する魚です。
アユ、ウナギ、ハゼに関しては、海と川を往来して生きていますので、海を介して生息域を変えることができます。しかし、このカワムツに関しては、一生を淡水域で生きる魚ですので、関東にまで生息域を広げることはまず不可能です。
今日、このように鎌倉の川にカワムツが泳いでいるということは、何らかの要因で人の手によって持込まれ、それが環境に適応し繁殖してしまったことが考えられます(国内移入種)。

鎌倉淡水魚紀行(梅田川編)~まさかのアユ遡上~

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<写真>
アユの乱舞(アユの食作法か?)
四方八方からの不規則な素早い動きでも、互いにぶつからないのが不思議でならない。

<本文>
梅田川で魚の観察をしていて驚いたことは、オイカワの他に多くのアユがいたことです。「アユが棲む鎌倉の川」、今や夏の風物誌として市民権を得た魚ではありますが、この梅田川のアユに関しては「よくぞここまで上ってきた」と特別な想いがあります。それは、多くの偶然と難所を乗り越え、海から遥々やってきたからです。
今回は、そんなアユの目線になって、川上りの旅をしてみましょう~。
まず、昨年の初冬に生まれた赤ちゃんアユたちは、沿岸域でスクスク育ち、春になると一斉に各河川を上り始めます。因みに梅田川のアユは、江の島に注ぐ境川河口(藤沢市)からエントリーします。境川を上ること藤沢地点で柏尾川との分岐点に差し当たり、柏尾川ルートを選んだアユたちは限りなく上流(横浜方面)へ向かいます。途中の大船地点につくと、梅田川に行くアユにとって最大の難所を迎えます。それは小袋谷川の流れ込み(東海道線の鎌倉踏切付近)のことで、落差と急流がアユを寄せつけませんが、それでも果敢に挑み続けます。
そして見事、難関を突破したアユたちは、支流の梅田川に入り、狭い水路を進み最終目的地となる観察場所に到着します(6月頃)。
そんなアユの賑わいもあと1カ月ほど、秋が深まる頃には、産卵のため海へ下ってしまうでしょう。

<ちょっとナゾ>
この猛暑の時期、日中の平均外気温が約33℃、水温でも30℃を超えてしまい、本来ですとアユが生きることができません。しかし「何故ここでアユが生きていけるのだろうか?」疑問に思いました。そこで今回は、猛暑が続く8月上旬に、上流域から観察ゾーンまでの5地点(A~E)の水温を計測したら、こんな事実が分かりました。

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<計測条件>
時期(8月上旬)/天気(晴天)/外気温(33度)/時間(正午)

<測定結果>
A地点:上流域(貯水所近く)=水温26.5℃
B地点:交差点付近=水温29℃
C地点:三菱電機の入口=水温33℃
D地点:三菱電機の出口/観察ゾーン始点=水温26.5℃
E地点:観察ゾーン終点=水温28.5℃

もし何もなければ、この観察ゾーンは、水温30℃を超えてしまう状況です。
しかし、三菱電機の下を潜ることで、水温を下げていたのです。26℃台でしたらアユも何とか生きていける環境なのかなと思いました。暗渠(あんきょ)が一役買っているようです。

鎌倉淡水魚紀行(梅田川編)~産卵後のオイカワの行方~

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<写真>
婚姻色が少し色づきはじめた新たな成魚(オス)たち。成熟を控えながらも、まだ若々しさが残る。

<本文>
熱き戦いを終え、産卵を終えたオイカワ達は、その場から完全に姿を消します。
水際でそれらの亡骸を確認できたことから、おそらくこれで生涯を終えるのだと私は推測しております(因みにオイカワの寿命は野生下で3~4年)。どんなに美しく強くても、全盛期でいられるのはほんのひと時で、まるで花の命のように短いです。
このオイカワの繁殖期は、梅雨に入る頃から始まり~夏の終わり頃までの約3か月間続き、次から次へと成熟を迎えます。そして現在も、新たなオス達が戦い、そしてメスとの恋の駆け引きをしているところです。かつては、他人事のように見ていた若魚も、今度は自ら婚姻色を発するようになり、あと数週間もすればこの舞台の主役になっていることでしょう。

さて、一般的に魚の繁殖は、短い期間にかつ一斉で行われることが多く、私が皆さんに観察情報としてお伝えする場合には、過去の経験則をもとにお話しております(自然が相手であるゆえ、ドンピシャで当てるのはなかなか難しいです)。
しかし、このオイカワに関しては、繁殖期が長いこともあり、私が現場で確認したあとに(つまり事後報告として)発信しても、生きた情報として皆さんにお届けできるので、何とも観察者想いの魚だなと親しみを感じてしまいます。

★鎌倉淡水魚紀行★(梅田川編)~オイカワの産卵~

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<写真>
~神秘的で最も美しい瞬間~
顔にある白い点々は追星(おいぼし)といって、婚姻色のオスに現れるシンボルといえます。

<本文>
前回はオス同士の美しい戦いにフォーカスをあてましたが、今回は生涯のクライマックスでもある産卵に密着したいと思います。産卵の観察に求める条件は3つ。1つ目は「美しく強いオスを探すこと」、2つ目は「産卵床となる砂地を探すこと」、そして3つ目は「産卵の前兆を知ること」です。一見難しそうに見える観察テクニックも、そのポイントさえ押さえておけば、感動的なシーンをより簡単に見ることができるでしょう。

まず、オス同士の激しい争いは、産気づいたメスの争奪戦からきており、やはり大きくかつ派手なオスが優位に立つようです。そして、はれてカップルが成立すると、メスを産卵床となる砂地へと誘導し、オスは体をブルブル震わせメスへの産卵行動を促します。
もしメスにその気があれば、オスに同調し、川底の砂を巻き上げながら放卵・放精します(砂を被せるのは、卵を外敵から守るため)。しかし、その瞬間に下位のオス達が力ずくで紛れ込むこともしばしば、自分の遺伝子を後世に残したい一心でしょう。ただ、メスにその気がなければ、再び仕切り直しとなり、その恋の駆け引きは延々と繰り返されます。
この産卵の光景はアチコチで見られますが、僅か5秒ぐらいの出来事のため他への目移りは厳禁、「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。

★鎌倉淡水魚紀行★(梅田川編)~オイカワの婚姻色~

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<写真>
~美しきオス達の熱き戦い~
全てのヒレを広げ相手を威嚇し、己の強さを誇示します。

<本文>
大船という大都会の住宅街に、突如出現する「魚のオアシス」があります。そこは、梅田川の上流域に位置する大船中学校(西側)沿の約200メートル区間のことで、覗いてみると多くの川魚達が迎えてくれます。
しかし、その梅田川の存在については、近隣住民の方や、川沿いを生活道路として利用する方が知っている程度で、大半は地下や路面下に隠れ、また人目につかないところを流れていることもあり、あまり馴染みのない無名の川というのが、私の第一印象でした。それ故に、こんなに豊かな川であったのかと驚きを隠せません。
今回はそんな梅田川にフォーカスを当て、夏休み企画として、この川の主役的存在でもある「オイカワ」を中心に、観察の見どころを惜しみなく紹介していきたいと思います。
さて、オイカワとは日本古来の淡水魚で、川遊びの名脇役といわんばかりのポピュラーな魚です。そして、この時期注目を浴びるのは繁殖期のオス。オスの婚姻色の奇抜な美しさは、日本の川魚の中ではトップクラス、南国トロピカルフィッシュにも引けを取らないでしょう。
真夏の炎天のもとで繰り広げられる美しいオス同士の戦いは、まさに豪華絢爛(ごうかけんらん)なアクロバットショーといったところでしょうか。この光景は、~夏休みいっぱいまで楽しむことができます。

こどもタウンニュース(かまくら版)2021年(令和3年)夏号

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タウンニュース社が発行する「こどもタウンニュース(かまくら版)/2021年(令和3年)夏号」の自由研究欄を担当することになりました。
未来のある子供たちのために、(魚のことで)何かしてあげれたらいいなぁ~と考えていた矢先でのオファーでした。編集長の卯辰さん、ありがとうございました。
このかまくら版は、鎌倉市の市立小学校(16校/総児童数:約8000人分)向けに配布されました。配布先は(あいうえお順に)、「稲村ヶ崎小」「今泉小」「植木小」「大船小」「小坂小」「御成小」「腰越小」「関谷小」「玉縄小」「第一小」「第二小」「西鎌倉小」「七里ガ浜小」「深沢小」「富士塚小」「山崎小」の計16校になります。

これは私が過去(※)に書いたブログがベースになりますが、学校の夏休みの自由研究で何らかの手助けやヒントになれば嬉しいです。スケッチするのもよし、絵日記を書くのもよし、写真を撮るもよし、ミニ図鑑を作るもよし、テーマ、好み、楽しみ方は皆さんそれぞれでいいと思います。
普段見る何気ない川でも、何か1つを知ることで、色々な「気づき」と「発見」をもたらせてくれることでしょう。そのキッカケを作るのが、私の役目だと思っております。

※)参考資料として、
私が過去に書いた記事(鎌倉淡水魚シリーズ/神戸川編)も載せておきますので、もし必要でしたらご参考ください。

1)神戸川物語(第1話) 5月・稚アユの遡上のはじまり
2)神戸川物語(第2話) 6月・水辺を踊る若アユ達
3)神戸川物語(第3話) 7~8月・盛夏の美しいアユ達の戦い
4)神戸川物語(第4話) 名脇役・ボウズハゼの求愛行動
5)神戸川物語(第5話) 名脇役/野生のウナギ観察
6)神戸川物語(第6話) ハゼの求愛ダンス(恋の行方は~)
7)神戸川物語(第7話) 川の忍者・カワアナゴ
8)神戸川物語(第8話) 瑠璃色の宝石・カワセミ
9)神戸川物語(第9話) アユとのお別れ
10) 神戸川物語(番外編) 鎌倉で幻の魚(アユカケ)発見!

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観察の極意を極めれば、リラックスした魚の姿も見れるでしょう(何匹の魚がいるかな?)。神戸川より

<お知らせ>
今年もタウンニュース(鎌倉版)で「鎌倉淡水魚紀行~清流の息吹を訪ねて~」コラム連載を書きます。特に夏休み期間は、オイカワを中心にホットなお魚観察情報をお送りできるように頑張ります。
ご興味のある方は、毎週金曜日の新聞(朝刊)をチェック!(7月30日~10月下旬まで掲載
予定)。

<私から皆さんに~>
観察する誰もが「新たな発見者」になります。

私はずっと鎌倉に住んでおりますが、毎年新たな発見で驚かされることばかりです。そして、まだまだ私が気づいてない魚も多く生息しているはずです。そのため、未知なる出会いを求め「宝探し的なワクワク感」をもって観察に挑んでみてください。もし「知らない魚」や「面白い魚」を見つけたら是非、私にも教えてくださいね!

★鎌倉淡水魚紀行★ ~ウキゴリが上ってきたよ~(夏到来)

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<写真>
ウキゴリ(稚魚)の群れ。小粒で地味な魚ですが、これが訪れると夏本番を実感します。

鎌倉の川にカメラを向けていると、多くの方がそれにつられて川を覗きます。興味もって声をかけてくださる方には、もれなく私の解説付き(おまけ)!ささやかなお土産話になれば幸いです。
そんな私も自然から教わることが多々あり、今回は魚が教えてくれる「夏の訪れ」について、お話したいと思います。

暦(こよみ)の上で夏至(6月21日)を過ぎた頃、砂押川をはじめ市内河川に「ウキゴリ」というハゼが一斉に海から上がってきます。大きさは柿ピーほどの小粒で、一見他のハゼと混同しがちですが、ウキゴリは中層を浮遊していることで区別がつきます(通常ハゼは川底にベタっとはりついている)。因みに「ゴリ」というのは、地方で小さなハゼの総称として使われ、それが浮遊しているから「ウキゴリ」であると、何とも単純なネーミングです(実はそれが正式名称になっております)。
そしてゴリに纏わるお話をもう一つ、それは「ゴリ押し」という言葉の由来です。
物事を無理に押し通すという例えで使われますが、これはゴリを網に追い込む「ゴリ押し漁」の様子からきております。

市内河川での人気を二分するアユやオイカワのような華やかさはありませんが、様々な魚からの教えを知ることで、お魚観察の深みがより増していくのかなと思っております。

★鎌倉淡水魚紀行★ 春の谷戸とホトケドジョウたち

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鎌倉にもやっと春が来ました。
谷戸の里山にはヤマザクラが開花し、ウグイスが鳴き立て、ここに身を置くだけであらゆる生命の息吹を感じる事ができます。それは動植物だけでなく、世の中も、そして気分までもが・・。とにかく春が訪れると何もかも活気づくのです。

そんなこんなで、春は一気に駆け込んできましたが、“山が笑う” いわば「春らしい風景」を堪能できるのは、せいぜい1週間程度と短く貴重なのかもしれません。でも私はそんな儚さが好きです。

さて今回の舞台は、鎌倉市の中央部(山崎地区)にある「鎌倉中央公園」です。
かつては “双子池(ふたごいけ) ”の愛称で親しまれ、そこは私の幼少期(30ウン年前)に魚捕や魚釣りを覚えた場所、いわば私にとって原点であり、まさに教科書的な場所でもありました。この公園は小高い山や丘陵に囲まれた谷戸に位置し、この谷戸の小川には鎌倉市内でも数少ないホトケドジョウの生息場所の一つとして知られております。

今は緑地公園化され、池の周辺は大規模に舗装整備されました(※釣り禁止です)。
そこには管理事務所・休憩所・自動販売機・トイレ、そして駐車場まで…もう至れり尽くせりで、当時と比べるとだいぶ様変わりしておりました。ただ当時の面影も十分に残っており30年前の記憶が少しづつ蘇り、公園のシンボルでもある巨岩(獅子石/ししいし)”も健在! 今となればこの獅子石が、往時を偲ぶよすが となっております。
そして何よりも30年以上経った今、開発を逃れこうしてホトケドジョウが生息し続けていた事に感動しました。

私の幼少期を過ごした昭和晩期(1980年代)とは、
経済発展を成し遂げ、都市開発、そして環境破壊と環境汚染を目の当たりにしてきた子供世代でもあり、メディアからも大人世代からも “古き良き時代” ばかりを聞かされてきた世代でもありました。
そんな中、この双子池周辺は昔ながらの田園風景が広がっており、小川にはドジョウやホトケドジョウ、コイ、フナ、サワガニ、ザリガニ、淡水シジミが多く生息しており、まさにそこは生物採集のオアシス!、泥んこになりながら触れ合っていたのを記憶しております。
そもそも、この双子池はもともと灌漑用水として作られた池で、田植えの時期になるとここから水を引き込みますが、ここで面白い現象が起きます。ちょうどこの時期は池の住人(コイやフナなど)の産卵期と重なり、それらの卵も一緒に田んぼに流れ込んできますので、梅雨明けの頃には5センチほど幼魚たちが田んぼを賑わせておりました。よく農家の爺ちゃんから「魚を捕ってもいいけど、畦道(あぜみち)だけは崩すなよ~」と釘を刺されておりましたが、あまりに魚捕りに夢中になりすぎて、畦道を崩してしまう事もしばしば・・・、よく叱られたのを覚えております(1981~1988年/昭和56年~昭和63年頃)。

当時、子供だった私にはまだ知る由もありませんでしたが、昭和晩期1980年代後半になると宅地開発の計画が持上がり、開発と保全をめぐり議論がなされ、環境破壊の危機が目の前に迫っておりました。そこで鎌倉市は「緑の基本計画」で(都市林公園にして)自然を残す事を決定し、開発が予定されていた事業用地を市が買取り、自然公園にする事でひとまず決着がつきました。

1990年に入る頃、遂に公園化に伴い大規模な工事が開始されました。
このエリアは暫く立入禁止になり、大型重機が容赦なく山と緑を削り、かつて遊んでいた場所が無残にも変り果てていく姿をフェンス越しに見ていたのを今でも覚えております。当初はどうなってしまうのだろうと複雑な気持ちでしたが、それが10年…20年…と長い年月を経て、公園は自然に馴染むようになり美しい場所になっておりました。

そして現在、公園では緑化事業の一環として、市民活動団体の方々の協力により自然環境の保全活動と文化継承が行われ、30年経った今も昔ながらの里山風景と田畑が残されております。そのおかげで昔と変わらず自然が残り、ホトケドジョウが生き延びている事に、また次世代の子供達が(かつて私達が遊んだように)泥んこになりながら生物採取に楽しむ姿を再び見ることができた事に感動しました。息子や子供達に生物採集を教えながらも、むしろ私の方が懐かしみ楽しんでしまったのは言うまでもありません。

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こうして子供達が自然や生物に接する事、これが自然の大切さを理解する最高の機会だと思っております。その為にも私に何ができるかをいろいろ模索し考えているところです。
こうやって自然が残る環境があるからこそ、そこに生息する動植物たちが相互に影響し合って、この生態系が維持されております。生物の観察やふれあいを楽しんだら、速やかに元の場所に戻してあげましょう。そして生物の持込みも、持出しも生態系を崩す事になりますのでやめましょう。「とっていいのは写真だけ」「残していいのは足跡だけです」。たったそれだけを意識する事で、この生態系は維持されることでしょう。

★真冬の鎌倉を楽しむ★ 春を先取り!一味違ったサクラを楽しむ(桜貝拾い)

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「師走」「年越し」「正月」「みかん撒き」「七草」「鏡開き」「どんど焼き」「大寒」・・、これら冬行事を次々に終え、冬も折り返し地点を迎えました。
そして2月に入り「節分」も過ぎ、暦上ではやっと “立春” になったものの、厳しい寒さはしばらく続きそうです。「新春」「迎春」「立春」・・・、春のハシリを活字で目にするようになったものの、やはり桜が咲かないと本当の春とはいえません。そんな桜の便りなんてまだまだ先の話、梅の花もポツポツな今日この頃です。

そんな真冬の鎌倉では、ひと足早く、また一味違った “桜の楽しみ方” があります。
それは海辺での「桜貝拾い」であって、波打ち際に散りばめられた桃色ピンクの美しさに魅せられ、また宝物探し的なワクワク感もあり、誰もが夢中になれるのが最大の魅力です。

桜貝とは・・・、
分類的にいえば、本家サクラガイをはじめ、モモノハナガイ、オオモモノハナガイ、カバザクラ、べニガイなどなど、これらピンク色した小貝を総称して「桜貝」と呼んでおり、特にここら一帯にはカバザクラが多く生息しているように思えます。貝殻は薄くて透明感があり、それはまるで淡桃色の薄ガラスのようです。手中に握りしめればすぐに割れてしまうし、自然下でも波砂に揉まれれば粉々に消えてしまい、何とも儚い運命の持ち主なのです。その美しさを留めておくには、透明な瓶などの容器に入れておくのがよいでしょう・・。
まさに努力の結晶が詰まった、何とも(鎌倉らしい?)小洒落たインテリアに早変わりです。

桜貝が採れる場所は、鎌倉付近の海岸ですと「材木座」や「由比ガ浜」が有名ですが、鎌倉西部エリアですと、江の島を境に東浜(腰越側)や西浜(江の島水族館付近)でもよく見かけます。因みに、私は東浜派で、天気の良い休日には家族連れて散策することが多いです。そんな海辺は貝殻の宝庫、もし波打ち際で足元に目を凝らし歩いている人がいたら、それはサクラ貝を探している人かもしれません。ただ先客がいたからといって諦めることはありません。たとえ人が探した後でも打ち寄せる波ごとに状況は変わり、新たな探人にチャンスを与えてくれるからです。

この “桜貝拾い” ・・・特にこれといった奥義はありません。
成果としては、1時間粘ってたった2~3枚で終わる時もあれば、波打ち際に「これでもか~」と言わんばかりのサクラ貝が打ち上げられる時もあります。こればかりは時の運、また自然相手の遊びなので、数と状況は選べませんが、それなりの成果が形として表れるのがよいのです。
海辺の訪問者にお土産をもたらしてくれる桜貝、ただあまりにも夢中になりすぎ、押し寄せる波に気づかず足を濡らす人も数知れず(私も含め)、ご注意あれ・・・。
タイトルの趣旨より、真冬を舞台に書いておりますが、“桜貝拾い” そものもは一年中楽しむ事ができますので、その点だけ補足しておきます。

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東洋のアマルフィ―?といえる海岸沿い(稲村ケ崎~七里が浜)。美しい絶景を求め、晴れた日は多くの人で賑わいます。

★真冬の鎌倉の楽しむ★ 私へのご褒美(稲村ケ崎の写真撮影)

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▲紅富士(稲村ケ崎)・・・・
撮影時間は、真冬の早朝(日の出前)のたった1分間! 根気を要しますが喜びも感動もひとしお。
富士山好きの人なら、一度はチャレンジしてみたい紅富士!いわば富士山撮影における登竜門の一つといえます。
太陽がまだ届かないシアン調の寒い風景に、富士山頂から徐々に紅色に染まっていく美しさは、この時この場に居合わせた者だけに与えられるご褒美といったところでしょうか。
真冬の早朝にちゃんとそこへ出向く習慣をつければ、その努力と根気に見合った成果が得られ、その達成感に浸りながら飲むコーヒーは格別に旨いです。

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▲晴天富士(稲村ケ崎)・・・・
これぞ稲村ケ崎のスタンダードであり王道でもあるパノラマ絶景。
撮影時間は(もし晴天の青色風景を撮りたい場合)順光である午前中がお薦め。晴天だけでなく、波(つまり風)も味方につけるとGOODです!
午後~夕方に向けて逆光になるので不向き(←幻想的な風景を狙う中級~上級者向け)。

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▲夕富士(稲村ケ崎)・・・・
撮影時間は、日没後~30分ぐらい。
夕暮れ後に浮かび上がる山々の稜線は美しいですが、それだけではイマいちパッとしません。
そんな宵闇(よいやみ)の湘南に “ライトの明かり” が浮かび上がることで、初めて「夜の稲村ケ崎」が表現されます。
私が思うベストな時期は、江の島灯台がライトアップれる時期(11月~1月)と休祭日がらみ(車の渋滞でライトが湾岸線を連なりキレイ)がオススメ。「自然美」と「人工美」の異質なコラボレーションが楽しめます。

改めて紹介します。
ここは稲村ケ崎(いなむらがさき)といい、鎌倉市内で富士山が見れる景勝地の1つです。
左手には相模湾・・、中央には江の島・・、右手には湾岸線・・、そして背景には伊豆半島から箱根へと山々が連なり、それら仕上げに富士山がキッチリまとめている。そんな数々の名所を欲しいがままに1枚におさめる事ができるパノラマ絶景が、ここ「稲村ケ崎」の魅力なのかもしれません。
しかし、不思議な事にこの壮大な景色の寄せ集めだけでは、(写真として)イマイチぱっとしません。この中に、小さく粒々な被写体(波・雲・鳥・サーファー・釣人・観光客・湾岸沿いを走る車のヘッドライトやテールランプ・建築物・信号・江の島灯台などなど)がとても重要な役割をしております。また山ひとつとっても、手前から湘南平、足柄山地、金時山、明神ヶ岳、明星ヶ岳、箱根山などなど、様々な山々が存在し、またそれら濃淡が重なり合い一つの山景色を作り上げています。
これら名脇役が入るか否かで、写真のまとまり方や風景の意味合いが大きく変わってしまうのです。 

これを言ったらヨーロッパのツーリストに怒られてしまうかもしれませんが、東洋のモンサンミッシェル(江の島)と東洋のマッターホルン(金時山)、そして東洋のアマルフィ―(海岸沿いとその店並み)といったところでしょうか・・・(※)。

※因みに、
①モンサンミッシェル(=フランス西海岸の小島に建てられた大聖堂/世界遺産)、②マッターホルン(=アルプス山脈の一つで、スイスとイタリアの国境にある4000m級の山)、③アマルフィ―(=南イタリアのソレント半島にある海岸/世界遺産)の有名な観光地のことですね。

ただ、この場に何度通ってても、こんな全裸で率直な富士山は珍しいかもしれません。
さて、この冬の時期、太平洋側にある鎌倉では空気が乾燥し晴天が多いです。しかし日本海(鳥取)育ちのカミさんからすると、この長閑な太平洋の光景はとても珍しく見えるようです(冬の日本海は灰色の空に荒狂う海!というイメージをもっているようで)。
この時期は、富士山など風景撮影にも適した時期と言われ、晴れた日は多くのカメラマンが稲村ケ崎に訪れます(鎌倉市内でナンバーワンの撮影ポイント)。撮影のテーマ、好み、楽しみ方は皆さんそれぞれですが、比較的に根気を要するのは、日中や夕方よりも早朝の紅富士でしょうか。私自身も素人ながらここ稲村ケ崎で紅富士を撮るべく、夜明け前の湾岸沿いを自転車で走らせ、極寒に耐えながら夜明けのチャンスを待ちます。

「紅富士」とは、富士山に積もった雪に朝日(もしくは夕日)が当たって紅色に輝く現象のことをいいます。富士山頂から徐々に紅色に染まっていく様子は感動もので、いよいよ「来るよ!来るよ!」と心を高ぶらせ「キタ~」とシャッターを押します。
ベストシーズンは、富士山に多くの雪が積もる12月~2月で、空気の澄んだ晴れた日がベターです。事前にその日の「天気予報」と「日の出時刻」などを調べ、当日は日の出時刻の「15分前」には撮影現場に立つような段取りでよいでしょう。

そこで今回のブログ記事では、
夜明けから紅富士へと変貌を遂げる様子を時系列で解説していこうと思います(↓)。
撮影日/2019年2月1日の場合)

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この時期、午前6時前ですと、まだ真っ暗で山の様子が全く分かりません。
それが6時を過ぎる頃、東の空が明るくなるにつれ、西側に聳え立つ山々も徐々に露わになり、ここで初めて被写体となる山々のコンディションの良し悪しが分かってきます(画像1)。
日の出の15分前、まず富士山の遥か上空から赤に染め(画像2)、そして空の赤いカーテンがどんどん高度を下げ、遂に富士山の頂上に差し掛かります(画像3)。山頂から紅色に染め上げ、いよいよクライマックスを迎えます(画像4)。富士山の積雪個所(白い部分)を全て紅色に染まった瞬間が “紅富士タイム” となります(画像5)。そして太陽の光が伊豆箱根の山々、そして鎌倉の街にまでさすと(ここが鎌倉の日の出の時間)、もう光の波長は赤から白へと薄くなり、紅富士タイムも終わりを迎えます(画像6)。

運よく(雲がなく)、富士山が全貌を現し、朝日が山頂を真っ赤に照らす …いわば  “紅富士タイム” はたった1分ほどで、今がチャンスと言わんばかり多くのシャッター音がアチコチ響き渡ります。
私は雲がかかっていない山々を好みますが、でも実際には雲が全くかかってない “全裸の富士山” を見れる日は意外と珍しく、そう簡単には写真を撮らせてくれません(たとえ天気予報では晴天であっても大抵はどこかしらに雲が掛っているのが殆ど)。成功率でいうなら10回足を運んでも1回あるか否かの程度です。

撮影が終われば、余韻に浸る間もなく各々がすぐさま仕事に・・今日も忙しい1日が始まります。
キレイな富士山が見れた時の感動は計り知れませんが、“満喫” には程遠く、何とも儚い、しかも地味で根気のいる早朝日課でした。

そんな気まぐれな自然が相手なので、ただ努力すれば叶う訳でもありません。勿論、行かないと成せない事が前提ですが、「成すか否かは時の運」と気楽に割切れる術を身につける必要があります。それを可能にするのは、決して気張らずその場に足を運ぶ習慣を作り、その習慣を自身に染み込ませるかですね。周りの方を見てもそんな感じで、気持ちをニュートラルにしているように思えます。

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紅富士の数分間、サーファー達の動きがピタッと止まっているように思えます。この紅富士の美しさを誰よりも知っているのはサーファー達なのかもしれません。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第9話・最終回)アユとのお別れ

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 今年はあまりの猛暑で、暦(こよみ)を疑いたくなるほどだった(本当に秋なんてくるのかと)。
しかし、あれだけの猛暑であっても、立秋(8月7日)を過ぎると空は秋になっているし、秋分(9月23日)となれば、夏の名残よりも秋の便りの方が多くなっている。彼岸花なんてまさにドンピシャなタイミングでひょっこり出てくる。この暦の教えは、長い歴史で培った知恵の賜物であり、よくも先人はこの領域まで導き出したものだと感心してしまう。

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あの真夏の鬱陶しかった日差しも今となっては弱々しく、夏の暑さをより一層引立てたセミの声もいつの間にかコオロギに代わり、辺はすっかり秋景色に・・・。それは景色だけでなく、魚にも顕著に表れるようになりました。

あの盛夏の神戸川を賑わせていたアユ達はというと・・・、まだここにおります。しかし、かつての若かれし頃の面影はなく、体は成熟を意味する暗色を施し、身を寄合い産卵のため川を降る準備をしておりました。
それら川を下るアユ達の動きは鈍く、サギやカワセミにとっては格好の餌。このチャンスを待っていたかと言わんばかりにこの時期になるとこの場に姿を見せます。野生の鳥たちも、この自然の教えを本能で知っているのでしょう・・・。

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春、夏、そして秋…、季節の移り変わりをアユと共に過ごしてきたが、いよいよお別れが近づいてきた。9月が終わり10月に入る頃、はじめは数十匹の小さい群れを形成し、それぞれが合流を繰り返し、やがては数百匹、数千匹、そして数万匹へと・・・、“産卵” という生涯の最終目標に向けて神戸川全域にいるアユが集まります。それが一斉に川を下り産卵、そして生涯を終えるのです。
これら川を下るアユのことを “落ちアユ(オチアユ)” といい、釣人の間では秋本番を知らせる季語にもなっております。
因みに、竹を組んで簗(やな)で獲るアユ漁も、アユが川を下る性質を利用したものです。

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アユは年魚(寿命は1年)、もし人間なら70~80年かけて全うする事をアユはたった1年でやってのけます。もちろん、生物それぞれに異なる時間を持っており、生涯のモノサシ尺度が全然違うのだけれども、それにしてもアユは寿命が短く儚いと感じてしまいます。そして、この写真が今年アユ達の見納めです(さようなら)。

それから1週間後・・・。
この記事を書いている今、もう神戸川にはアユの姿はありません。
産卵したアユ達は生涯を終え、卵は2週間程で孵化し~来年春まで沿岸付近で過ごします。そして初夏になる頃には次世代のアユ達が遡上し、再びこの川の水辺を賑わせてくれる事でしょう・・・。このようにアユは、“親は子を知らず、子も親を知らず” な生涯を送りますが、ちゃんと次世代にバトンタッチし続けているのですね。

この光景は決して特別ではなく、普段そこを散歩している誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタですが、視点を変えるだけで様々な魅力が出てきました。
私は魚が好きなので、近所の神戸川にフォーカスを当てたに過ぎませんが、様々な分野でも、近所で何気ない散歩道が、もしかしたら今までにない輝きを放ち “特別な場所” に変わるかもしれません。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第8話)瑠璃色の宝石・カワセミ

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神戸川でアユを観察していると、カワセミに遭遇する機会が多々あります。
今回は、私にとって川のマスコット的存在であるカワセミの話題にふれ、より多くの方に楽しんでもらうために、ちょっとした観察のウラ技もお伝えできればと思います。

この時期、神戸川のカワセミ観察の極意は「カワセミを追う」のではなく、「カワセミを引き寄せる」ことです。これは秋が深まるにつれアユが産卵のために川を下り、大好物であるアユの居場所が限られていくので、そのアユの動向さえ追えれば、カワセミもアユを求めて自然と近寄ってくる、という逆転の発想からきています。アユを撮影しているとカワセミが徐々に近づいてくるのを感じます。
カワセミの豪快なハンティングを目の当たりにした時、その感動は計り知れなく、皆さんにとってスペシャルな1日になること間違いありません。但し、まばたきは厳禁!ほんの一瞬の出来事です。

これは余談ですが、カワセミに纏わるトリビアを1つ。
近年の新幹線(500系)の先端フォルムは、空気抵抗を極限にまで減らし、まさにスピードを象徴する美しさですが、実はカワセミの嘴(くちばし)からヒントを得て作られております。このように様々な場面に登場し、名声をほしいままにしたカワセミですが、そのマルチな才能と魅力の持ち主であるゆえ、多くの人たちを虜にさせてきたのかもしれませんね。

約半年の間、アユを交えて多くの生物に関わりを持つことができ、多くの事を学びました。カワセミの出会いもその一つで、初めのうちは、私の姿を見ると否や遠くに逃げておりましたが、長いあいだ撮影をしていると、私も自然に馴染んでくるのでしょうか。カワセミもより近くになり、時折リラックスした自然な姿を見せてくれるようになりました

そして神戸川のアユ物語もクライマックスへ!次回はアユとの最後の別れをお送り致します。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第7話)川の忍者・カワアナゴ

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9月になると台風や雨が多くなり、アユの観察は一旦小休止。そんな時は気分転換で下流域を散策してみるとよいでしょう。そこは潮の干満の影響を受け、淡水と海水が入り混じる汽水域の世界へ、生態系もガラッと変わります。
今回は、そんな汽水域に生息する「カワアナゴ」という面白い魚を紹介します。アナゴといっても、実はハゼの仲間で、その第一印象は「大きい」の一言に尽きます。神戸川で撮影したものでも25㎝ほどあり、その長さに先人はアナゴと間違えたのかもしれません。
しかし、こんなに大きいにも関わらず、そう簡単には見つけることができないのは何故でしょう。
その理由は「忍法木の葉隠れの術」と言わんばかりに落ち葉と同化し、時には自ら葉っぱになりきり、川の流れに身を任せ漂うのです。その姿を見つけるのは、魚を主食とするカワセミやサギなどの鳥類にとっても難しいようです。
カワアナゴの撮影時、ちょうどゴイサギと鉢合わせに、私はその狩りの決定的瞬間を逃すまいとカメラを構えましたが、サギは足元にいる獲物をそのまま見過ごし去っていったのです。
命の危機が迫っているのに、木の葉を演じ続けるカワアナゴの役者魂は凄い!私の期待を良い意味で裏切ったのでした。

追伸)
台風シーズンになると、この神戸川が氾濫する光景を目の当たりにしてきました。源流から河口までたった2キロで完結してしまうような小さな川ですが、どうしてここまで氾濫するのでしょうか。

故・井上六郎さん著書「時のながれ、津村の流れ」の津村地区の地形考察によると(一部抜粋)、
「この平地の東西を二つの川が流れ、腰中の近く二俣川で合流し相模湾にそそぐ。この二つの川の源は腰越地区にあり、雨が降ると全域に降った雨は急斜面を駆け下り二つの川に入る。大雨になると本龍寺橋から二俣あたりは完全に湖になる。そして文教堂(現在はファミリーマート)前の県道は,稲束、草履,下駄などが流れる川になった。水は秒単位で増え、近くの人は年に何回もある床上浸水に備える。すぐ増水しあっという間に減る。これが実情だった」と書かれております。

台風が過ぎて水位が戻ると、魚達が何変わらぬ様子で泳いでおります。あれだけの荒れ狂う濁流の中、どうやって凌いでいるのかが不思議でなりません。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第6話)ハゼの求愛ダンス(恋の行方は~) 

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ここ神戸川にも多くのハゼの仲間が生息しており、その中でヨシノボリ、ボウズハゼ、チチブハゼの3種は容易に観察できることから、いわば神戸川のレギュラーメンバーといってよいでしょう。そして夏はこれらハゼたちは繁殖期の真只中で、足繁く川に通うと、求愛ダンスだけでなく、産卵に備え巣作り、卵を必死に守る親魚の様子なども観察することができます。
それを見ていて気づくことは、魚にも気性や気質というものがあるんだなぁ~ということ。ハゼたちが繰り広げる恋のアタックは、それぞれが個性的でありました。
勿論、これらは私が見た限りの感想に過ぎませんが、皆さんの視点でその性格や行動なども比較してみると、観察がより面白くなるかもしれません。
このような求愛ダンスは必ずしも成功に終わるとは限りません。一見面白おかしく見えつつも、そのオスの必死さと切なさは、(同じ男として)共感するところが多々あります。

余話~
魚の観察から学ぶ、持続可能な資源の考え(基礎編)
川の魚を観察していて感動したのは、幼魚~成魚(親魚)まで、様々な大きさの魚が棲んでいたことです。これは毎年、親魚がちゃんと子孫を残していて、繁殖や生息環境がシッカリ整っている証拠でもあります。流れの緩やかなところに目をやると、今年の春に生まれた幼魚たちが!大きさは僅か2~3センチと小粒ながらも逞しく生きております。こんな身近な川にも様々な生き物が生息しており、まさに弱肉強食の世界ですが、これら全ての生物たちが互いに影響し合いながら絶妙なバランスで生態系が保たれているのですね。自然界ではごく当たり前な光景ですが、ここに人間が「過剰」に介入すると、この生態系の秩序はいとも簡単に壊れてしまうことを、(過去の経験から)私たちが学び、理解しなければなりません。
しかし、逆を言えば、人間が自然と「良好な関係」を築ければ、人間が介入したとしてもこの豊かな自然は未来へと続くことでしょう。それを決めるのは人間の行動1つ1つなのかもしれません。これぞ「持続可能な資源」の基礎となる考え方であって、この魚の観察を通じて、多くのことを学べる最高な機会だと(私は)思っております。

撮影秘話~
このボウズハゼの求愛行動の写真を見て、とても難易度の高い撮影ではないかと?そんなご意見が寄せられました。しかし、それはズバリ違います!このように見かけは難しそうにでも、分かってしまえば非常にシンプルそのものです。ここで読者の皆さまには「種明かし」をしたいと思います。
まずは婚姻色のオスを探すことから始まります(ひときわ目立つ色調なので見つけやすいです)。それが見つかればあとは簡単!そのオスをずっとカメラで追うだけです。
このように華やかな婚姻色のオスは、基本的に「やる気満々」ですので、自らメスを探しに行くわ~、オス同士で喧嘩するわ~、とにもかくにも自己アピール満載なパフォーマンスを見せてくれます。後は、良いタイミングと思ったところでシャッターを押すだけです。その場その状況にいれば誰でも簡単にできてしまうでしょう。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第5話)名脇役/野生のウナギ観察

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夏の神戸川でアユの撮影をしていると、カメラのファインダー越しに思いがけない珍客が入り込むことが多々あります。ウナギもその一つで、予期せぬ出現にいちいち驚かされますが、同時に生物の豊かさを感じさせてくれます。ここ神戸川には、アユをはじめ、多くのハゼの仲間、モクズガニや手長エビなどの甲殻類が生息しておりますが、これらが生息する川には、ほぼ100%の確率でウナギもいると考えてよいでしょう。特にこれら魚同士に密接な関係はありませんが、川と海を往来する点では生活史が共通しており、ちゃんと海と川を往来できている証拠だからです。そして何よりも、またそれら多彩な生物が生息している事で、水質の良さを裏付け、またウナギにとって最高の餌場をもたらせてくれます。

ウナギの知名度は100%!大衆的で誰もが知っている魚です。しかしそのウナギの私生活についてはまだまだ知らない事だらけです。因みに、野生のウナギ(成魚)の生活史は、海と川の2重生活をしますが(池や沼などの止水域で育ったもの、放流されたものは除く)、その海洋生活は、繁殖を目的とする旅なのですが、一体「どこで?」「どのように?」産卵をしているのかずっと謎に包まれておりましたが、ところが近年の海洋調査で、何と日本から2000キロ離れたマリアナ沖の深海であることが判明しました。

そこで生まれた赤ちゃん達は、暖流にのって日本諸々へ運ばれ、各河川を生活の場として成長します。そして、成熟期を迎えると再び海へ下り、繁殖のためマリアナへと旅立ちます。もう聞いているだけで気の遠くなる話ですが、ウナギの生涯そのものがトライアスロン耐久レースなみの強行スケジュールで、それを代々繰り返すのです。          

日本では昔から食され“スタミナのつく食材”として、またそのイメージキャラとして不動の地位を築いた魚ですが、何よりもウナギ自身がとても驚異的なスタミナの持ち主であることを付け加えておきましょう。

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これはウナギが獲物(モクズガニ)をハンティングする様子を遂にカメラでとらえる事ができました。基本的にウナギは夜行性といわれますが、今回のように真昼でも摂餌活動することがあるようです(正午12時、炎天下の撮影)。
ウナギは視力が弱い魚ですが、その代わり嗅覚に優れ、また獲物から発する何らかの波動を察知し、少なくても人間にはない感覚を持っているようです。徐々にアプローチし、獲物に巻込み感触を確かめながらガブッと噛みつきました。この川でウナギがモクズガニを襲う光景を幾度も目撃しましたが、あえて口に入らないサイズのモクズガニに執着したのは何故でしょう。もしかしたら、そのカニはソフトシェル(脱皮直後の柔らかい殻)で食べやすい事をウナギ自身が知っていたのかもしれませんね。
カメラで捉えられたのはここまで。カニにガブっと噛みついたウナギは、体をグルグル回転させ大暴れ!無我夢中でシャッターを押しましたが、川底で煙幕が巻き上がり被写体不在の駄作にて終了。あぁ悔しい!
そういえば、ここ最近、川底にモクズガニの破片をよくみかけるという奇怪な現象に遭遇しましたが、おそらくウナギの仕業だったのでしょう・・・。

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これもウナギのハンティング風景。
ウナギに追われ、岩穴に逃げ込んだウキゴリやヨシノボリを探している様子をカメラでとらえました。ウナギの動きは変幻自在で、前後・左右・上下、そして急停止に急発進と・・・全く予測ができず、撮影者泣かせなヤツです。見る限り、成功率は低くお世辞でも「上手な狩りですね」とは言えませんが、餌が豊富な環境なのでしょう、体が大きくとても太っております。

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そんな身近な川で見るウナギたちも、いつの日かマリアナへと旅立つのでしょう・・。

ここ近年、ウナギは全国規模で減少の一途を辿り、今となっては希少種になりつつあります。
幼魚の乱獲(※)、環境破壊など様々な要因がありますが、ウナギを取巻く多くの問題が潜んでいるのも事実です。

※)因みに市場に出回っている養殖ウナギは、天然のウナギの幼魚(シラスウナギ)を捕獲して、それを養殖場で適度な大きさに育てられたものを市場に出荷されます(半天然+半養殖)。なせかというと、卵を孵化させることまではできるのですが、孵化した幼生が一体「何を食べて」「何を栄養」としているのか分からないのです(これを初期餌料といいます)。近年の水産研究や技術の進歩により完全養殖の成功例も出ておりますが、その技術の確立(それから実用化)にはまだ時間がかかりそうです。よって、今でも天然幼魚に依存しているのが現状です。

昔は、いかに獲ったか? が評価された時代でした。しかし(今も含め)これからの時代は「いかに資源を維持・持続しているか」が重要で、この生態系に人間がどのように関わり、獲っても資源が減らないようなバランスを我々人間がシッカリ考えなければならない時代になりました。
(ウナギに問わず)資源が少ない獲物に出会った時に「(欲に任せて)獲るのか?」「獲っても速やかに逃がしてあげるか?」「(未来を見据え)見守ってあげるのか?」の見極めが大事になり、資源を維持する上で(法や条例に頼ることなく)我々一人一人の与えられた今後の課題なのかもしれません。
保護観点上、私は同じ「とる」でも、“捕る” のではなく “写真で撮る” 方を選びました。少なくても、資源が回復するまでは「見守る」事にしました。そんなウナギとの付合い方や楽しみ方もアリかなと考えております。

しかし、そんな私は小さい頃から “大のウナギ好き” であることもつけ加えておきます。
獲るのも大好き、飼うのも大好き、そして食べるのも大好きで、もっともっとウナギのことをもっと知りたいですし、もっとウナギと親密な関係でもありたいです。なので、ウナギの資源が回復するまでは、我々がシッカリ守ってあげないといけないとなりません。その恩恵に預かれる日を心待ちにしていきたいと思います。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第4話)名脇役・ボウズハゼの求愛行動

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神戸川でアユを観察していると、同時に多くの “ボウズハゼ” もセットで観察する事ができます。
ボウズハゼとは、清流と海(沿岸)を共にする回遊性のハゼの仲間。大きさは 人さし指ほどでハゼにしては長細い体つきをしており、その姿はまるでトラ柄ドジョウのようです。
特徴的なのはこのマヌケな顔!箱型の四角い顔はどことなくネコザメを連想させ、その下向きな口は掃除機みたいで面白い。これら特徴的なパーツが偶然にコラボして、このようなマヌケな顔に仕上がっているのでしょう。
ボウズハゼは岩についた苔が大好物なので、これら苔をそぎ落とすのに適した形が 「コレ?」なのでしょう。

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8月はボウズハゼの繁殖期真っ只中、求愛行動を見る事ができます。
オスはトラ柄の色調がより一層強くなり、ヒレというヒレを全開し、メスに情熱的なアプローチをします。ボウズハゼは警戒心が非常に強く、人影を見るとすぐに岩陰に隠れてしまいますが、その場にジッと待っていれば人間も自然に馴染み、再び現れ ありのままの姿を見せてくれます。

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カメラのファインダーの中には、実に多くの生物が存在し、そこには人間が入り込めないもう一つの世界が繰り広げられておりました。
ボウズハゼは、アユ同様に縄張り意識が非常に強く(仲間同士でケンカをしている光景もしばしば)、
生活史だけでなくその性格までもがアユと非常に似ております。しかし、ここまで同じ生息域で暮らし、同じ苔を食べているのにアユとは一切ケンカをしない・・・何とも不思議な関係です。

因みに神戸川上流(西鎌倉駅前)に高さ1m程の堰堤があるので、実質上ここが魚止め(うおどめ)になります。その為、アユ達の遡上はここまでとなりますが、ボウズハゼに関しては腹ビレは吸盤状になっているので垂直な滝でも登ってしまいますので、このボウズハゼに関しては限りなく源流域でも観察する事ができます。

今となっては、ここ神戸川では当り前のようにアユやボウズハゼを観察できますが、実はちょっと昔の神戸川にはかなり汚れており魚の気配なんて全くありませんでした。それがここ近年、下水道の普及による水質改善で多くの魚がこの川に再び戻ってきたのでした。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第3話)7~8月・盛夏の美しいアユ達の戦い

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予言します。今年の流行語大賞は「猛暑」。もうこれで決まりでしょ!
この猛暑続きで人間も世の中もグダグダですが、そんな暑さをもろともせずウチのゴーヤとオクラだけは元気。さすが “夏野菜” という肩書だけあって、よくもまぁ毎日毎日シッカリ実をつけているな~と感心してしまう。
私がアユの撮影場所に選ぶこの神戸川の脇道は、日が高くなると日陰がなくなり、そこはまさに炎天下の地獄道!強烈な日射しが容赦なく突き刺さりますが、季節野菜を彩る畑とアユで賑わう川に挟まれ、草いきれのこもる未舗装の脇道はどこか昭和の懐かしさを感じさせてくれます。

さて、盛夏の神戸川のアユ達はすっかり成魚になり、2つの大きな変化が表れるようになります。
まず1つ目はアユの見かけで、シンボルでもある黄色の斑紋がくっきり目立ち全体的にも美しい体色になります。そしてもう一つはアユの性格で、成魚になると縄張り意識が強くなり餌場となる苔岩に自分の縄張りを持つようになります。

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前回の記事(第2話)では、初夏の若アユ達が群れで賑わう様子を書きました。それが盛夏になると、成長した個々のアユ達の縄張り争いにフォーカスを当てるようになります。このように季節とアユの成長に応じて、撮影テーマ(どういう光景を撮りたいか)も大きくが変わっていきます。
それだけアユを語るには「夏」は重要であって「神戸川のアユは夏なしには語れない!」といっても決して過言ではないでしょう。

因みに1匹のアユが持つ縄張りの範囲は、ここ神戸川のアユを見る限り、おおよそ苔岩一個分(50センチ四方ぐらい)を持ちたがるようです。もしそこに別のアユが侵入しようなら、もう地主は怒り心頭!そのアユを排除すべく執拗に追いかけ回す光景が見られます。本当ならNo.1の強いアユが縄張りを独占したいとこでしょうが、No.2、No.3も次々に侵入しもう巴戦状態に。挙句の果てには、格下のアユ達が群れがどっと押し寄せ、縄張りはゴチャ混ぜに・・・。それを炎天下の中、四六時中ずっとやっているわけですから、縄張りを持ち続けるアユも大変だな~と思いました。

こんな習性を利用したのに “アユの友釣り”  という釣法があります。
まずは1匹の活アユを用意し、そこに専用の仕掛けを装着します。その仕掛けのついたアユを苔岩に送り込むと、そこを縄張りをもったアユが攻撃し、その際に針に引っ掛かってしまうという・・・まさに神業的な釣法です。通常「釣りの仕掛け」は、“魚の捕食“ を前提に考えられているのが一般的ですが、このアユの友釣りに関しては全く異なる次元での発想から成立しております。
ただ友釣り釣法の起源や発祥の地といったルーツは、諸説ありすぎて未だに特定されていませんが、先人たちはこれらの縄張り争いの様子をみてこのような発想に至ったのでしょう(アユを釣る文化は江戸時代にもあったそうだが、その釣法については明らかにされていません)。

★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第2話)6月・水辺を踊る若アユ達

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鎌倉市の西部を流れる神戸川(ごうどがわ)の川沿いに買物に行く際の裏道があり、その狭さから “けもの道” と勝手に名付けております。自転車同士ですれ違うのはおろか、歩行者同士でも気を使うぐらい狭い道ですが、家からスーパーやコンビニへショートカットで行く事ができ、また車の多い公道を避ける事ができるので近隣の住民にとって欠かす事のできない、いわば生活道路なようなものであります。

また前回のブログ記事(第1話)では、4月に海から遡上した稚アユの様子を書きました。
それから1カ月経ち、稚アユからスクスク成長しその容姿はすっかりアユらしくなり、人間に例えるならエネルギッシュな10代といったところでしょうか。銀色のキラキラした多くのアユ達が神戸川の水辺を賑わしておりました。
若くて元気ピチピチな様子を形容するのに「若鮎のような~」といった表現がありますが、水辺を賑わすアユ達を見れば納得、まさにその通りの光景が見られます。

またアユの食事作法もとてもユニークで、岩に唇を押し付けて付着したコケを削ぎ取って食べる様子が見られます。言葉ではうまく表現できせんが、まるでバターナイフでバターをス~ッっと塗り返したような、滑らかな動きで岩のコケを削ぎ取って食べます。お目当ての苔岩には常に数匹~数十匹のアユが群がっており、時にはその数100匹以上になる事もあります。
苔の生えた岩・・我々人間からすればそれほど魅力を感じませんが、アユ達にとっては最高なご馳走のようです。

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眺めているだけでもアユの生態を十分過ぎるほど観察できる神戸川。
アユを知る上でこれ以上に適した場所はなく、毎回私に新たな発見をもたらせてくれます。

★鎌倉の淡水魚シリーズ★ 神戸川物語(第1話)5月・稚アユの遡上のはじまり

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ここは神戸川(ごうどがわ)、鎌倉市西部(腰越地区)を流れるとても小さな2級河川です。
西鎌倉を水源とし、津から~津西~そして腰越地区の住宅街を縫うように流れ、水源から河口までわずか2㎞(徒歩30分程)で海に出てしまうという短さ。特に公道に面している訳でもなく、近隣の住民しか目にすることのないマイナーな川であります。
しかし、そんな小さな川には毎年多くの天然アユが遡上し、おそらく鎌倉市内で一番身近でアユを観察する事ができる場所、いわばアユの名スポットなのです。

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毎年4月中旬頃になると、神戸川にアユの遡上が一斉に始まります。
夕焼けに染められた川沿いを歩いていると、水面がポツン、ポツン、ポツン・・・と、まるで雨の降り始めを思わせる光景が稚アユたち訪れを知らせてくれるます。大きさはまだ小指ほどで、まるで柳の葉のように細々した体ですが、これから逞しく成長し盛夏になると神戸川の水辺を賑わせてくれることでしょう。

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これから半年の間、季節の移り変わりをこのカワセミと共に過ごし、そんなアユの生活史に触れながらその見どころ記事にしていきます。その場を共にする生物たち、そしてアユをめぐり思いがけない珍客の登場も・・・、そんな神戸川に秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。
神戸川のポテンシャルはアユなしには語れない・・・と言っても、決して過言ではないでしょう。

★鎌倉の淡水魚紀行★ 鎌倉では珍しい淡水魚を発見!モロコの仲間か?

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ここは鎌倉西部にある鎌倉広町緑地の谷戸。
あれだけ待ち焦がれていた春なんて一瞬に過ぎ、あっという間に初夏を迎えました。
太陽はギラギラ燦々、肌に突き刺さる日差しから逃げたい一心で日陰を求めます。そんな木陰をもたらす大きな木には、完熟したクワの実を鈴なりにぶら下げておりました。
実を収穫する楽しさは、鳥類だけでなく人間の本能にもシッカリ組込まれているようで、訪問者たちの口を紫色に染めておりました。

4月は生命の息吹を感じる月でしたが、5月となれば動植物の成長の勢いを「これでもか~」と感じる月で、谷戸の湿地帯の草々はもう背丈にまで伸びきっておりました。
小川をはじめ地熱がこもる湿地帯はまさに蛇の温床と化し(しかもこの時期はヘビの繁殖期も重なり)、実際に今日この緑地内を一時間歩いているだけでも4回も蛇に遭遇!見上げればヘビ、足元もへび、ヘビが露出する度にいちいち驚かされる事に・・・。広町緑地の職員も長い棒で脇道を叩きながら見回っておりました。

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さて、ちょっと話は脱線しますが、
魚好きの性(さが)として、もしそこに水辺があると、ふとそこへ導かれる習性がある(ようです)。当然、私にとっては小さい頃から勝手に身についたクセのようなものなので全く自覚してませんが、傍から見ると突発的かつ不思議な行動に見えるようで、人に言われて初めて気づきます。もしそこに魚がいれば、その様子に説明がつくと思いますが、大抵は期待外れでそこに魚がいません。にもかかわらず、暫くその場をじっと眺めているのだから、初めは好奇心で聞いた質問者も、だんだん私に対する疑問へと変わり「一体この人は何を見ているんだろう?」と首をかしげてしまうようです。ただその場で暫く眺めていると、魚達が自然な姿を見せてくれるので、私はひたすらそれを心待ちにしているだけなのですが・・・。

閑話休題、話を戻します。
そんな魚好きな好奇心から、そこに水があれば何気なく眺めているのですが、今日の広町緑地の小川はいつもと違います。何か10㎝ほどの “魚らしき” ものが視界に入るも、特に逃げる事もなければ微動だにもしません(通常、野生の魚はここの段階で人の気配を察知して逃げるのですが・・・)。
まっ、こういう時は大抵 枯葉などが川底に沈んでて「それっぽく」見えた・・・というオチで終わるのですが、今回に限ってはいつもと様子が違うのです。近寄って目を凝らして見ると「目」や「ヒレ」がついているし、口もパクパクしているのでそれは間違いなく「魚」である事が判明しました。

さて、ここ鎌倉広町緑地に生息する魚といえば、ホトケドジョウとドジョウが主で、季節限定でヨシノボリなどの小型ハゼが遡上する程度です。ただドジョウにしては太すぎるし、ヨシノボリはこんな形でない・・・、消去法でホトケドジョウが残るも、もしこれがホトケドジョウなら日本記録級のサイズ・・・いや、それはないであろう。そもそも、私にとって広町緑地は庭のようなもので、ここに生息する魚を知っていただけに、その先入観が余計に邪魔して、その魚の正体をより遠ざけてしまったようです。

今回は子供のザリガニ釣りで小さいタモを持参していたので、その正体を確かめてみる事にしました。と言っても相手は野生の魚です、泣いても笑っても捕獲のチャンスは1回きり!絶対に逃げられないよう、逃げ道を全て封じ、そっと、そっと、そっ~と、慎重に、慎重に、慎重ぉ~に・・、間合いを詰めます。そしてチェックメイト!魚が気づいた時には時遅し、見事タモの中へ誘導する事に成功しました。
そして正体を見てビックリ、全ての予想を覆し、何と見た事のないモロコの仲間でした。

モツゴなどは鎌倉の池に生息しておりますが、それとは全く異なる容姿。
背中には大きな銀輪を輝かせ、体にはキレイな金色ライン、中央帯は黒いラインが走り、関東ではあまり見かけないモロコで、しいて言うなら中部~西日本に生息するカワバタモロコに似ているものでした。胴体の両面に古傷があったので、おそらくサギなどに捕まりながらも、何とか逃げて命拾いしたのかもしれませんね。

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撮影の為、一時的に採取しましたが、速やかに元の場に逃がしてあげ、セリの茂みに消えていきました。私も初めて目にした魚なので、人為的に持ち込まれたものなのか、昔から生き延びているものなのか、また生息データは全く未知数ですが、優しく見守っていきたいと思います。

★鎌倉淡水魚紀行★ 春の谷戸・ホトケドジョウの繁殖期に密着

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鎌倉にもやっと春がきました。
ちょうど1週間前(2018年3月21日)、まさかの名残の雪に拍子抜けしたものの、その後の「春」の追い上げは凄まじく、その雪色から一転!たった1週間で春色へと変貌を遂げたのでした。
まだまだ冬ごもりな私でしたが、里山に咲きほころぶサクラを目にし、摘んだヨモギで作った草餅を口にし、鑑賞と賞味の両方が達成され、やっと春を実感する事ができました(私は花より団子派ですが)。

さて、今回の舞台は、鎌倉市西部(腰越地区)にある “鎌倉広町緑地” の谷戸、
鎌倉三大緑地(台峰、常盤山、広町)の1つで、その中でも最大で41ヘクタール(41万平方メートル)の面積を誇ります。谷戸(やと)とは、小高い山や丘陵に囲まれ細長く続く谷のことをいい、ここ鎌倉では多くみられる地形の一つです。ここを水源として小さな小川が流れ、周辺にはいまだ田園風景や湿地帯が広がり、多くの動植物を育んでおります。
ホトケドジョウはこの様な谷戸の小川を好みますが、近年急激な都市化が進み環境破壊により激減、全国規模(特に都市化がすすむ地域)でも希少種になりつつあり、ここ鎌倉からみれば「絶滅危惧種」といっても決して大げさではないでしょう。そんな広町緑地は、鎌倉市内でも数少ないホトケドジョウの生息場所の一つとして知られております。

さて、今回の記事では、その鎌倉谷戸に生息するホトケドジョウの繁殖について触れたいと思います。日本の生物の多くは、繁殖期に春を選びますが、それはドジョウに関しても同じです。ここに生息するホトケドジョウの繁殖は4月~5月ぐらいとされますが、ただ観察に適しているのはやはり4月となります。5月になると草が生い茂り、暖められた湿地帯はまさに蛇の温床となり、シマヘビやアオダイショウならともかく、マムシのような毒蛇も生息しているので迂闊に入り込めません。ヘビは人間の存在に気づけば大抵は逃げてくれますが、この手の観察は辛抱強くその場でジッとしている事が多く、一旦自然に馴染んでしまうと、人間もヘビや草と同様に自然と化して、全てがゴチャ混ぜになるのです。ヘビも人の気配に気づかず、足元をスゥ~っと通り過ぎる場面もしばしば。背筋が凍る思いをどれだけしたことやら・・・、なので4月が良いのです。

興味のある方は、川沿いを可能な限り歩いてみるといいでしょう(立入禁止区域はダメです)。人の気配を感じると泥の煙幕を出して雲隠れしたり、セリの根元がモゾモゾ動いていたり、何かと生物の気配を感じる事ができます。勿論、繁殖期となれば、大きな親魚達がそれなりの群れを成すので、その存在感は十分すぎるほど、ドジョウたちの生活史において毎年この時期は一大イベントなのです。

ホトケドジョウが産卵に選ぶ場所は、水深が10センチも満たない浅場で、かつ外敵からすぐに逃げれるような所、かつセリや草の根が多く根回りが深くエグれ、タモ網すら入れられない・・・こういう場所を産卵場として好むようです。急な影の動きや物音には敏感ですが、暫くその場でじっとしていると、ドジョウもリラックスして時折、根から顔を出したり、ドジョウ同士が絡んだりする場面も。むしろこの時期のドジョウは繁殖行動の方に夢中なので、その場に馴染んでしまえば、人間の存在もあまり気にしないようです。
今回は観察の為、一時的に飼育ケースに採取しましたが 撮影が終わったら速やかに、かつ元の場所にそっと返してあげました。 

それから1週間後・・・
かつてのお祭騒ぎな気配は終わり、何事もなかったように平穏な小川に戻っておりました。
そして盛夏になる頃には体長2センチほどの幼魚が見られるようになるでしょう。純朴で猜疑心がない幼魚たちは容易に捕れることから、生物採取を楽しむ子供たちにとって格好の獲物となり、バケツ中を賑わせてくれる事でしょう。
こうして子供達が自然や生物に接する事、これが自然の大切さを理解する機会だと思っております。観察とふれあいを楽しんだら、速やかに元の場所に戻してあげましょう。

編集後記
今も手つかずの自然が残る広町緑地ですが、かつては宅地開発の計画が持上がり、開発と保全をめぐり議論がなされました。2000年代に入り鎌倉市は「緑の基本計画」で「都市林公園」にして自然を残す事を決定。開発が予定されていた事業用地を鎌倉市が買取り、市民活動団体等と市の協力で保全に向けて大きく前進しました。そのおかげで現在も人の手が入っていない自然が残り、開発を逃れたホトケドジョウが今も生き延びております。
私の幼少期を過ごした昭和晩期(昭和50年代)には、昔ながらの田園風景がアチコチに広がり小川には多くのホトケドジョウが生息しておりました。しかし平成に入ると、急激な都市化が進み環境破壊によりホトケドジョウは激減、全国規模(特に都市化がすすむ地域)でも希少種になりつつあり、ここ鎌倉からみれば「絶滅危惧種」といっても決して大げさではないでしょう。

★鎌倉の淡水生物★ 鎌倉に生息する野生のスッポン

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いきなりですが「鼈」は何と読むでしょうか。これで「スッポン」と読みます。
スッポンは日本や中国では古くから食され、滋養強壮や精力のつく食材として、またそのイメージキャラとして不動の地位を築いた生物ではないでしょうか。
また噛みつく力は強く「雷が鳴るまで離さない」などの迷信があるほどで、もしガッツリ噛まれようなら確実に大怪我します。強引に外そうとしても絶対に離れませんので、もし噛まれてしまった場合の対処法としては、すぐに水に付けるとよいでしょう。そうするとすぐに離してくれます。

鎌倉エリアでも野生のスッポンは生息しておりますが非常に珍しいです。
ただ容易に観察できる場所もあり、私が知っているのは2カ所。一つは鶴岡八幡宮の源氏池、ここには池のヌシと言わんばかりの巨大スッポンがおります。
そしてもう一つがここ笛田にある夫婦池にも生息しております。この夫婦池は約330年前(江戸時代)頃、灌漑用水として作られた池で上下一対の池(2つの池)を称してそう呼ばれております。

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天気の良い日は、甲羅干しをしている姿も時折見かけますが、警戒心が非常に強く人影を見るとすぐに水に潜ってしまいます。ただその場にジッと待っていれば人間も自然に馴染み、いずれは呼吸をするために水面に姿をみせてくれます。スッポンからも危険を感じないと分かればリラックスした姿を見せてくれます。

真夏の鎌倉を楽しみ方(山編) in 鎌倉中央公園

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ここは鎌倉市中央公園、市内で気楽に山遊びをしたければここに来れば間違いなしです。
そこには管理事務所・休憩所・自動販売機(夏はかき氷販売もしている)・トイレ、そして駐車場まで…もう至れり尽くせりで、どの季節に訪れても自然との調和が素晴らしい公園です。

標高は50m未満の低い山々ですが、そこには多くの昆虫をはじめカブトムシやクワガタも生息しており、子供に生物採集を教えながらも、私も本気で懐かしみ30年ぶりにカブトムシを捕りました。
公園内には大きなクヌギの木があり、このクヌギの木からは樹液が流れ、この周辺は何とも樹液の酸っぱい香りが漂っておりました。ただクヌギから出る樹液は別に甘いわけでもなく、我々人間にとってはそれほど魅力を感じませんが、虫達にとっては最高のご馳走のようです。

カブトムシやクワガタを捕りたいなら、まずはクヌギ、コナラ、ヤナギの木を探しますね。でもそれらの木だったらどれにでもいるのかというと必ずしもそういう訳でもなく、それは “樹液が出ている木” に限定されると思います(そこまでは皆さんもご存じかと思います)。

では、その “樹液の出る木” とは?
これは決して自然現象ではなく、実はカブトムシやクワガタとは全く関係してない2種の虫たちが関与していると言われております。

まずはカミキリムシの幼虫、彼らが木の内部まで穿孔し樹液が外に流れ落ちるシステムを作ってくれます。これは効果絶大ですが、いずれは木が自身で修復してしまうので樹液効果は一過性に過ぎずません。そして、ここ近年の調査で分かったのが、もう1つの虫が関与していることです。
それは “ボクトウガの幼虫”です。この幼虫は実は肉食性で樹液に集まる小さな虫達を餌にしているので、日々樹液が固まらないように仕向けている、つまり樹液が出続ける木に仕向けているのです。
全く異種なる虫たちの絶妙なコラボがもたらすのですね。園芸分野においては代表的な害虫ですが、違う分野では一役買っているようです。

ここ近年、鎌倉市内の街灯は蛍光灯からLEDに変わり、すっかり虫が寄らなくなりました(蛍光灯に虫が群がるのは電灯から発する紫外線によるものですが、LEDは紫外線を発しない為です)。かつて電灯に群がる虫に苦労しましたが、何もいないとなると何か淋しいですね。

追伸)
この奇抜なカラーの怪しい毛虫は  “リンゴドクガ” といいます。これも中央公園の遊歩道を横断している時に撮影したものです。名前からして、またモフモフ感といい、いかにも危険さをそのまま絵に描いたような毛虫ですが、実は無毒の毛虫みたいです(・・・と図鑑に書いてありました)。頭では分かっていても、私には触る勇気はなくそのままスルーにて道を横断頂きました。

★観測史上50年ぶり★ 秋の湘南地区に積雪!そして化嵐(けあらし)発生

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木枯らしの季節になると、スズキへの想いがだんだん強くなります。
地元での本格的なスズキ釣りシーズンは、晩秋の寒さが身に染みる11月下旬から~寒さの最も厳しい大寒(1月中旬)頃までで、この時期は大きなスズキが近場を回遊してきます。
しかし、ここら湘南地区は “超” がつくほどの激戦区で、しかも釣れるポイントが少ないので、
「そこで釣れる魚の数よりも、釣人の数の方が圧倒的に多いんじゃないの」と皮肉りたくなる気持ちです。

私の場合、江ノ島周辺をはじめ、片瀬川河口、片瀬漁港一帯でスズキ釣をしておりますが、スズキ釣りの時間帯として朝マズメや夕マズメが多いせいか、天気が良ければ景色も楽しむ事ができます。
海は、時には訪れる人達を最高の絶景でもてなし、時には牙をむけ人すら近寄せつけない・・・、たった1日であっても天候や海況がめまぐるしく変化し、二度と同じ姿を見せる事はありません。

そして、本日(2016年11月24日)。
何と鎌倉に雪が積もりました(11月の積雪は50年ぶりみたいです)。しかもこの日は最高気温は4℃と、この地区この時期にはあり得ない極寒ぶりでした。
ただこの時期の海水温はまだ20℃ぐらいと暖かく、これらの寒暖差で化嵐(けあらし)が発生。海からは湯気が立ちこめ、とても幻想的な景色になりました。

化嵐が発生する条件は?
「風が吹かず」「気温と水温の温度差が15℃以上あるとき」に発生しやすいと言われております。

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引用:左)YAHOO天気図、 右)神奈川県水産技術センター海況図引用

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■江の島大橋から見た東側(江の島灯台)2016年11月24日

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■江の島大橋から見た西側(片瀬川河口)

で、肝心なスズキは釣れたんかいな? 魚の記事は? 
・・・とツッコみどころ満載ですが、そこはご安心ください(スズキは釣れてませんからッ)。
魚が釣れないと景色の写真が多くなるのは気のせいでしょうか。

★鎌倉の淡水魚シリーズ★ 神戸川物語・鎌倉で幻の魚(アユカケ)発見!

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 鎌倉西部(西鎌倉~腰越)に流れる神戸川(ごうどがわ)の川沿に近所の買物に行く際の裏道があり、その狭さから「けもの道」と勝手に名付けております。自転車同士ですれ違うのはおろか、歩行者同士でも気を使うぐらい狭い道なのですが、家からスーパーやコンビニへショートカットで行く事ができ、車の多い公道を避けれるので近隣の住民にとって生活道路なようなものであります。

またここは5月に入ると海から遡上してきた若アユのたまり場となり盛夏の水辺を賑わせてくれます。ごく当たり前の日常光景なので普段はスルーしがちな内容ですが、例年よりアユの群れが多かったのでカメラに収める事にしました。ほんの数分の撮影でしたが見知らぬ方が5名も声を掛けてくれ、普段は誰も口にはしないものの若アユの存在は気にはなっていたようです。
アユは年魚(寿命は1年)、もし人間なら70~80年かけて全うする事をアユはたった1年でやってのけます。
無論、生物それぞれに異なる時間を持っており、生涯のモノサシの尺度が全然違うのだけれども、それにしてもアユは寿命が短いのです。

春、夏、そして秋…、季節の移り変わりをアユと共に過ごしてきたが、いよいよお別れの時期が近づいてきた。
今日もそんな思いで落ちアユを眺めていたら、あれ?!一瞬 石が動いたような錯覚に陥いた。
岩陰から突如姿を現したのは、なっ何と「アユカケ」でした!周囲のハゼと比べてもケタ違いのサイズ、圧倒的な大きさと存在感は堂々たるものでした。

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アユカケ(カマキリともいう)とは、海(沿岸)と川を共にする回遊性のカジカの仲間。秋に産卵のために海に降り孵化した幼魚はしばらく沿岸で過ごすので、その生活史は鮎と非常に似ております。
環境変化に伴い今となれば生息分布を東北まで延ばしているものの、かつて1980~90年代まではここ神奈川が北限とされ(昔の魚類図鑑はそう記載してある)、現在に至ってもここ神奈川で目撃されるのは非常に稀で、ましてここ鎌倉での目撃は過去に聞いた事がない(※そもそも鎌倉市内の河川は保護区という事もあり捕獲データーがない)。

私にとってアユカケとは図鑑の世界だけに登場する魚、この場で見れただけで十分でしたが更に私を驚愕させたのはその数秒後にアユカケのとった行動でした。
岩陰から出たアユカケは底を這いながらアユ群れに急接近、なんと!目にも止まらず早業でエラを使って鋭いUターンで鮎を引っ掛けようとしたのでした。くどいようですが口でなくエラを使ったのだ。
その攻撃でアユ群れは一瞬散ったが1匹のアユだけがその場でパニックを起こし違和感のある泳ぎをしていたのでアユカケの攻撃を受けたと思われる。結果的には未遂で終わったが、本来ならここでその1匹のアユをガブッと捕食するのであろう。私もその瞬間を心待ちにしていたが、(私の気配が気になるのか)岩陰に隠れたままで姿を見せる事はなかった。
それにしてもアユカケの凄い一撃必殺技を見てしまった。1秒…いやコンマ単位での出来事であったがその光景はシッカリと脳裏に焼付いた。

★参考(補足資料)
漫画・釣キチ三平(カジカの夜突きの巻)でこのアユカケがアユをエラで掛けるシーンがある。その一撃必殺技はこの漫画だけの世界だろうと疑っていたが、今となってはそれが本当であったと確信しました。
詳しくは、【釣キチ三平】【カジカの夜突き】【アユカケ】 …この3つのワードを入れて検索にかけるとその該当するコマが出てきます(6コマだったかな?完璧な描写です)。敢えてこのコマに補足させて頂くとすれば、これはほんの一瞬の出来事。1秒いやコンマ単位の世界だったという事です。

………この出来事がきっかけで、
いつもの神戸川に今までにない輝きを放ち、私にとって特別な場所となりました。
アユカケという宝物がこの岩陰に潜んでいる事が分かっただけでワクワクし、せめてアユカケの写真でも…、更なる目標は必殺技であるエラ掛けシーンを動画で撮りたい…と気持ちになっておりました。常にデジカメと動画カメラを身にまとい、カメラ小僧と化しゴールの見えない地味な戦いが始まりました。
初めて目撃してから7日目(10月16日)の朝…、遂にそのアユカケの姿をデジカメで納める事ができました。
アユカケは警戒心が強いのか?近寄るとすぐに岩陰に隠れてしまうシャイな奴。幾度か姿は見れたもののすぐに巣穴に隠れてしまい、なかなか撮影させてくれませんでしたので、忍び足でかなり遠方からズームで撮影しそれを拡大しております。
アユカケの画像はネットで検索すれば多く出てきますし、この画像そのものも全く大したものではありません。しかし、私自身にとって、ここ鎌倉にとって、とても貴重で意味のある写真画像となりました。

このアユカケという名前の由来にはいろいろな説がありますが、きっと昔の清流にはアユ釣りや清流遊びの名脇役としてアユカケがたくさん生息しており、水中でアユを引掛けている光景を誰もが見ていた事でしょう。それ故に昔の人はアユカケと名をつけたのだと(私は)思っております。
エラ掛シーンを動画で撮れなかったのは悔しいですが、自然の生き物相手なのでこればかりは致し方ありません。いつかきっと誰かが撮ってくれると信じ、それまで「エラ掛け一撃必殺技」の事は自分の中だけに留めておく事にしました。

その数週間後…もうそこにはアユの姿はありませんでした。アユが産卵した卵は2週間程で孵化し~来年春まで沿岸付近で過ごし、初夏になると再び若アユ達がこの川に戻り水辺を賑わせてくれる事であろう。そして、私の心を射止めたアユカケも姿を見せなくなり、いつも通りの平凡な神戸川になりました。アユカケもアユ同様産卵の為に海に降るのですが川下りも産卵も命がけです。どうかサギ達に捕まる事なく無事に次の世代に繋いでくれよと…そんなアユカケの行く末を案じてしまう今日この頃でした。
そして近い将来、鎌倉に生息する魚のレギュラーメンバーとして、このアユカケが図鑑に登場する日を心待ちにしております。

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