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江ノ電
フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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巨大クラゲ(エチゼンクラゲ) VS 天敵ウマズラハギ *山陰の妖怪シリーズ(前編)* 

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私にとって「日本海」とは…、神奈川県生まれで太平洋しかしらない私にとって縁もゆかりもなく演歌の世界にだけ登場するものでしたが、結婚を期に(カミさんは鳥取出身)山陰地方や日本海の距離が一気に近くなり、年に一度の里帰りが八鳥家にとって年間行事の1つになっております。          
今回の帰省は9月中旬…
今年2009年からシルバーウイーク連休の制度が導入され、この時期に飛行機で帰るとかなり割高になるので今回の移動手段は電車を選択、道草なしで約8時間の旅となりました(鎌倉⇒新横浜⇒岡山⇒米子⇒名和)。山陰本線という日本海沿岸を走るローカル線(単線のワンマン電車)で最寄駅は名和(なわ)という無人駅です。その田舎的な雰因気はオツなものであるが、いかんせん運行が1時間で1本のみなので乗り遅れようなら命取りです。

9月に鳥取に行くのは初めて。この時期は海は閑散としているものの、まだ夏の名残を楽しむ感じで、秋を迎えるにはちょっと早い気がしました。
この頃、蕎麦の花がちょうど満開で、蕎麦の花一輪一輪はとても小さいですが一斉に咲くと広大な畑一面を白く染め上げます。天気が良ければ大山を背に咲き乱れる蕎麦の花を眺める事ができます。「蕎麦の花が咲けば鮎が川を降り始める」…ということわざがあり、これは夏も終わりを意味しますが、海水温に関しては依然と高く南方性の魚やクラゲをよく目にします。

実家の最寄の港は、御来屋(みくりや)漁港というところなのですが、ここ日本海のこの時期(水温の高い夏~秋季に)でよく目にするのが「エチゼンクラゲ」、それはまるで傘のように大きく重さも100kgをゆうに超えます。初めて見た時はあまりの大きさにタマげたのを今でも覚えています。このエチゼンクラゲの本来の繁殖地は、中国(黄海~渤海)でその一部が海流に乗って日本海に入ってくるようです。ここ近年は富栄養化や地球温暖化はクラゲにとって育ちやすい環境となりクラゲが大発生が目立つようになりましたが、特に今年2009年は異常なほどの大発生でした。

この大発生は漁業においては深刻なダメージで、底曵網や定置網の中を巨大クラゲが埋め尽くし圧迫された魚が傷ついたり死んだりして魚の商品価値を下げてしまうので、漁師達にとって大きな悩みの種で死活問題なのです。ピアノ線を施した網を船で曳き浮遊するクラゲを切ったりしているものの、根本的な解決にはなっていないようです。

あともう1つ問題なのは、魚と一緒に獲れてしまった「エチゼンクラゲ」の処分についてです。
食としてもあまり適さず(食べれない訳ではありませんが手間暇かかりコストが見合わない)そもそもクラゲの需要自体が日本では少ない。クラゲ自体は9割以上は水で形成されているので陸上げしてそのまま放置すればいずれは無くなるのですが、その大量のクラゲを置く場所やそれらの腐敗臭に問題があり、殆どは粉砕し産業廃棄物として処理されているのが現状。食材だけでなく医療や化粧品、そして肥料として再利用を模索しているみたいですがそれはほんの一部であって、それを賄うだけの需要にはなってないようです。

実はそんなエチゼンクラゲにも天敵がおり、それはウマヅラハギ集団。
彼らは容赦なくクラゲに襲い掛かり、まるでピラニア猛攻のようです。目の前に泳いでいるエチゼンクラゲもボロボロになりながら必死に逃げている様子が目の前で確認されました。このウマズラハギが救世主になるといいですね。
このような大発生には、人的要因もあれば、自然的要因もあり、一度そうなると人間の力だけでは容易に変えられないものです。増えすぎてもダメ、でも減り過ぎてもダメ、良いバランスになって欲しいです。

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