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江ノ電
フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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★巨大魚イシナギ(第3話) ~朝獲れイシナギ(一本釣り)を鎌倉へ搬送

  • 2011/08/08 19:32
  • カテゴリー:日記

ファイル 103-1.jpgファイル 103-2.jpg

依然イシナギは好調、でも・・。そんなイシナギ釣りにも複雑な事情がありそうだ。
まず、この釣りにおいて、釣った巨大イシナギの行方は、(1)各自で持ち帰るか、(2)大き過ぎて対処できない場合は船長に引取ってもらうかの2択になる。特に後者の場合、そのまま市場のセリに出すのですが、シーズン当初は浜値でキロ800円と高額取引されていたのが、もうキロ200円を割っているとのことで、市場は「嘆き」状態。「超」が付くほどの高級魚なのに、欲しがっている人が山ほどいるのに、それでも暴落しているのだ。

その理由は簡単、地域限定で爆発的に釣れ(漁でも獲れ)、その水揚げされるイシナギは全てヘビー級(30kg~100kg)、大波のように一気に押寄せたイシナギは、地元のバイヤーもサバき切れず、それぞれの受入先もパンクしているようだ。それでも滞りを避ける為、最終手段として値段を下げてでも流さなければならないのが本音だと思うが、魚の価値を下げるのは人間の勝手な都合にすぎない。イシナギはまぎれもなく高級魚である、これもしっかり補足しておきたい。

イシナギについていろいろ調べるうちに、知れば知るほどこの魚に惚れてんでいく。そんな日々の会話の成り行きから「で、八鳥さん、いる?」とのお言葉、絶妙なタイミングで天からイシナギが舞い降りた感じがした。平野さん曰く「ウチの家族もいっぱい堪能したし、価値のないものとして流通されるなら、欲がっている人(価値が分かる人)に渡ればイシナギも本望だろう、次に獲物が釣れたらの話だけどね」と、そんな平野さんの言葉は、人に対しても、魚に対しても心意気を感じた。そうなると、まず本命の1本は、私がいつもお世話になっている魚料理屋の料理長にプレゼントしよう。そして追加があれば私の分も・・と青写真を描いて、「とにかく2本はノドから手が出るほど欲しい人がいますから安心して釣ってきてください」と伝え、これで【釣り手】【受け手】【運び手】の気持ちが一つになった瞬間だった。
全ては成りゆきに任せつつも、すべき時が来たらビシッと段取りするのが私のやり方です。7月も終わりになろうとした時、遂にその日が来た。

朝6時に1本目、7時に2本目のコールが入った。開始早々食ってきたとの事でまさに船上からの生電話であった。私もルンルン気分で勝浦へ車を走らす・・・。11時に勝浦に到着すると、氷でキンキンに冷えた2本のイシナギがそこにあった(30kgと35kg)。「別にアベレージサイズだよ」といたってクールな態度が平野さんらしい、奥さんや子供も、横たわった巨大イシナギには全く見向きもせず通り過ぎる。何ちゅう家庭や、きっとこの家庭では日常茶飯事で見慣れているのでしょう。その場の雰因気に未練を残しながら、早々に2本のイシナギに車に積込み、立会人の釣主(平野さん)を助手席に乗せ、共に帰路鎌倉へ。もちろん料理長には、到着予定時刻をコールしておいた。

・・3時間後、鎌倉に到着すると料理長が外で待っていてくれた。イシナギを見つめる嬉しそうな顔、私はそれだけで十分だった。よかったよかった。

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