★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第6話)ハゼの求愛ダンス(恋の行方は~)
ここ神戸川にも多くのハゼの仲間が生息しており、その中でヨシノボリ、ボウズハゼ、チチブハゼの3種は容易に観察できることから、いわば神戸川のレギュラーメンバーといってよいでしょう。そして夏はこれらハゼたちは繁殖期の真只中で、足繁く川に通うと、求愛ダンスだけでなく、産卵に備え巣作り、卵を必死に守る親魚の様子なども観察することができます。
それを見ていて気づくことは、魚にも気性や気質というものがあるんだなぁ~ということ。ハゼたちが繰り広げる恋のアタックは、それぞれが個性的でありました。
勿論、これらは私が見た限りの感想に過ぎませんが、皆さんの視点でその性格や行動なども比較してみると、観察がより面白くなるかもしれません。
このような求愛ダンスは必ずしも成功に終わるとは限りません。一見面白おかしく見えつつも、そのオスの必死さと切なさは、(同じ男として)共感するところが多々あります。
余話~
魚の観察から学ぶ、持続可能な資源の考え(基礎編)
川の魚を観察していて感動したのは、幼魚~成魚(親魚)まで、様々な大きさの魚が棲んでいたことです。これは毎年、親魚がちゃんと子孫を残していて、繁殖や生息環境がシッカリ整っている証拠でもあります。流れの緩やかなところに目をやると、今年の春に生まれた幼魚たちが!大きさは僅か2~3センチと小粒ながらも逞しく生きております。こんな身近な川にも様々な生き物が生息しており、まさに弱肉強食の世界ですが、これら全ての生物たちが互いに影響し合いながら絶妙なバランスで生態系が保たれているのですね。自然界ではごく当たり前な光景ですが、ここに人間が「過剰」に介入すると、この生態系の秩序はいとも簡単に壊れてしまうことを、(過去の経験から)私たちが学び、理解しなければなりません。
しかし、逆を言えば、人間が自然と「良好な関係」を築ければ、人間が介入したとしてもこの豊かな自然は未来へと続くことでしょう。それを決めるのは人間の行動1つ1つなのかもしれません。これぞ「持続可能な資源」の基礎となる考え方であって、この魚の観察を通じて、多くのことを学べる最高な機会だと(私は)思っております。
撮影秘話~
このボウズハゼの求愛行動の写真を見て、とても難易度の高い撮影ではないかと?そんなご意見が寄せられました。しかし、それはズバリ違います!このように見かけは難しそうにでも、分かってしまえば非常にシンプルそのものです。ここで読者の皆さまには「種明かし」をしたいと思います。
まずは婚姻色のオスを探すことから始まります(ひときわ目立つ色調なので見つけやすいです)。それが見つかればあとは簡単!そのオスをずっとカメラで追うだけです。
このように華やかな婚姻色のオスは、基本的に「やる気満々」ですので、自らメスを探しに行くわ~、オス同士で喧嘩するわ~、とにもかくにも自己アピール満載なパフォーマンスを見せてくれます。後は、良いタイミングと思ったところでシャッターを押すだけです。その場その状況にいれば誰でも簡単にできてしまうでしょう。