★鎌倉淡水魚紀行★(梅田川編)~オイカワの産卵~
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~神秘的で最も美しい瞬間~
顔にある白い点々は追星(おいぼし)といって、婚姻色のオスに現れるシンボルといえます。
<本文>
前回はオス同士の美しい戦いにフォーカスをあてましたが、今回は生涯のクライマックスでもある産卵に密着したいと思います。産卵の観察に求める条件は3つ。1つ目は「美しく強いオスを探すこと」、2つ目は「産卵床となる砂地を探すこと」、そして3つ目は「産卵の前兆を知ること」です。一見難しそうに見える観察テクニックも、そのポイントさえ押さえておけば、感動的なシーンをより簡単に見ることができるでしょう。
まず、オス同士の激しい争いは、産気づいたメスの争奪戦からきており、やはり大きくかつ派手なオスが優位に立つようです。そして、はれてカップルが成立すると、メスを産卵床となる砂地へと誘導し、オスは体をブルブル震わせメスへの産卵行動を促します。
もしメスにその気があれば、オスに同調し、川底の砂を巻き上げながら放卵・放精します(砂を被せるのは、卵を外敵から守るため)。しかし、その瞬間に下位のオス達が力ずくで紛れ込むこともしばしば、自分の遺伝子を後世に残したい一心でしょう。ただ、メスにその気がなければ、再び仕切り直しとなり、その恋の駆け引きは延々と繰り返されます。
この産卵の光景はアチコチで見られますが、僅か5秒ぐらいの出来事のため他への目移りは厳禁、「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。