鎌倉淡水魚紀行(梅田川編)~産卵後のオイカワの行方~
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婚姻色が少し色づきはじめた新たな成魚(オス)たち。成熟を控えながらも、まだ若々しさが残る。
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熱き戦いを終え、産卵を終えたオイカワ達は、その場から完全に姿を消します。
水際でそれらの亡骸を確認できたことから、おそらくこれで生涯を終えるのだと私は推測しております(因みにオイカワの寿命は野生下で3~4年)。どんなに美しく強くても、全盛期でいられるのはほんのひと時で、まるで花の命のように短いです。
このオイカワの繁殖期は、梅雨に入る頃から始まり~夏の終わり頃までの約3か月間続き、次から次へと成熟を迎えます。そして現在も、新たなオス達が戦い、そしてメスとの恋の駆け引きをしているところです。かつては、他人事のように見ていた若魚も、今度は自ら婚姻色を発するようになり、あと数週間もすればこの舞台の主役になっていることでしょう。
さて、一般的に魚の繁殖は、短い期間にかつ一斉で行われることが多く、私が皆さんに観察情報としてお伝えする場合には、過去の経験則をもとにお話しております(自然が相手であるゆえ、ドンピシャで当てるのはなかなか難しいです)。
しかし、このオイカワに関しては、繁殖期が長いこともあり、私が現場で確認したあとに(つまり事後報告として)発信しても、生きた情報として皆さんにお届けできるので、何とも観察者想いの魚だなと親しみを感じてしまいます。