★今月の1枚(2023年12月号)~落ちハモ(旬が2度ある?)~
- 2023/12/01 21:03
- カテゴリー:日記
6月にもハモの記事を書きましたので、過去に読んでくださった方は「デジャヴかな?」と思われるかもしませんね。いいえ2度目のハモ記事です。しかし今回は「魚の旬」について、ハモを交えて語ろうと思います。
そもそも魚の旬について、大衆魚などは魚屋さんに行けばいつでも買うことができますが、実はそれぞれの魚には美味しい時期(旬)があります。何をもって旬とするかは「漁獲対象」と「食対象」では解釈が異なりますが、食に関して言えば、産卵期は身が痩せてしまうので、産卵の逆のシーズンが美味しいというのがセオリーです。もし旬を聞かれた場合、私もそれを基本に話をしております。
これはハモに関しても同様で、ハモの旬は一般的に産卵期で漁獲の多い「梅雨~盛夏」と知られておりますが、実は季節外れの晩秋にも再びハモが姿を現すようになります。このように秋に獲れるハモを「落ちハモ」といい、むしろこちらの方を「本当の旬」といえるでしょう。これは夏の産卵後の旺盛な食欲を満たし、冬ごもりに備え身が肥えて美味しくなるためです。この頃になると体が金色を帯びることから「黄金ハモ」と呼ばれたりもします。
因みに、このハモは重さ5キロ超え、長さ150センチの横綱級のハモです。しかし食に適した(=骨切りができる)ハモはせいぜい1キロ前後で、それ以上のサイズは「規格外」すなわち「価値がないもの」として扱われます(小骨が硬くて食べれないため)。そのためこの巨ハモの行先は、廃棄される一歩手前、最後の砦として安価な練製品(カマボコやはんぺん)の原料に回されるのが現状でした。
そんな負のレッテルを貼られた巨大ハモを救済すべく、私は様々なハモ料理を試作することにしました。そこで分かったのは2つ、巨大であっても身が美味しいこと。そして、ちょっとした型破りな発想で(小骨を避けて)美味しく食べれる方法があることです。これをすぐさまマニュアル化して、漁師さん、魚屋さん、そして料理人の方々にレポートすると、とても関心を持たれ「巨ハモのイメージが変わった」と嬉しい声を頂きました。
このように今まで邪険にされていた魚も「新たな価値」を見出せれば、新たな活路ができるのではないかと私は思っております。
<注意>
活きたハモは獰猛な性格で、触れるものには何にでも噛みついてきますので、取扱いには十分にご注意ください。咬まれたら確実に大怪我します(病院直行必至)。