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江ノ電
フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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★鎌倉淡水魚紀行★ 春の谷戸とホトケドジョウたち

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鎌倉にもやっと春が来ました。
谷戸の里山にはヤマザクラが開花し、ウグイスが鳴き立て、ここに身を置くだけであらゆる生命の息吹を感じる事ができます。それは動植物だけでなく、世の中も、そして気分までもが・・。とにかく春が訪れると何もかも活気づくのです。

そんなこんなで、春は一気に駆け込んできましたが、“山が笑う” いわば「春らしい風景」を堪能できるのは、せいぜい1週間程度と短く貴重なのかもしれません。でも私はそんな儚さが好きです。

さて今回の舞台は、鎌倉市の中央部(山崎地区)にある「鎌倉中央公園」です。
かつては “双子池(ふたごいけ) ”の愛称で親しまれ、そこは私の幼少期(30ウン年前)に魚捕や魚釣りを覚えた場所、いわば私にとって原点であり、まさに教科書的な場所でもありました。この公園は小高い山や丘陵に囲まれた谷戸に位置し、この谷戸の小川には鎌倉市内でも数少ないホトケドジョウの生息場所の一つとして知られております。

今は緑地公園化され、池の周辺は大規模に舗装整備されました(※釣り禁止です)。
そこには管理事務所・休憩所・自動販売機・トイレ、そして駐車場まで…もう至れり尽くせりで、当時と比べるとだいぶ様変わりしておりました。ただ当時の面影も十分に残っており30年前の記憶が少しづつ蘇り、公園のシンボルでもある巨岩(獅子石/ししいし)”も健在! 今となればこの獅子石が、往時を偲ぶよすが となっております。
そして何よりも30年以上経った今、開発を逃れこうしてホトケドジョウが生息し続けていた事に感動しました。

私の幼少期を過ごした昭和晩期(1980年代)とは、
経済発展を成し遂げ、都市開発、そして環境破壊と環境汚染を目の当たりにしてきた子供世代でもあり、メディアからも大人世代からも “古き良き時代” ばかりを聞かされてきた世代でもありました。
そんな中、この双子池周辺は昔ながらの田園風景が広がっており、小川にはドジョウやホトケドジョウ、コイ、フナ、サワガニ、ザリガニ、淡水シジミが多く生息しており、まさにそこは生物採集のオアシス!、泥んこになりながら触れ合っていたのを記憶しております。
そもそも、この双子池はもともと灌漑用水として作られた池で、田植えの時期になるとここから水を引き込みますが、ここで面白い現象が起きます。ちょうどこの時期は池の住人(コイやフナなど)の産卵期と重なり、それらの卵も一緒に田んぼに流れ込んできますので、梅雨明けの頃には5センチほど幼魚たちが田んぼを賑わせておりました。よく農家の爺ちゃんから「魚を捕ってもいいけど、畦道(あぜみち)だけは崩すなよ~」と釘を刺されておりましたが、あまりに魚捕りに夢中になりすぎて、畦道を崩してしまう事もしばしば・・・、よく叱られたのを覚えております(1981~1988年/昭和56年~昭和63年頃)。

当時、子供だった私にはまだ知る由もありませんでしたが、昭和晩期1980年代後半になると宅地開発の計画が持上がり、開発と保全をめぐり議論がなされ、環境破壊の危機が目の前に迫っておりました。そこで鎌倉市は「緑の基本計画」で(都市林公園にして)自然を残す事を決定し、開発が予定されていた事業用地を市が買取り、自然公園にする事でひとまず決着がつきました。

1990年に入る頃、遂に公園化に伴い大規模な工事が開始されました。
このエリアは暫く立入禁止になり、大型重機が容赦なく山と緑を削り、かつて遊んでいた場所が無残にも変り果てていく姿をフェンス越しに見ていたのを今でも覚えております。当初はどうなってしまうのだろうと複雑な気持ちでしたが、それが10年…20年…と長い年月を経て、公園は自然に馴染むようになり美しい場所になっておりました。

そして現在、公園では緑化事業の一環として、市民活動団体の方々の協力により自然環境の保全活動と文化継承が行われ、30年経った今も昔ながらの里山風景と田畑が残されております。そのおかげで昔と変わらず自然が残り、ホトケドジョウが生き延びている事に、また次世代の子供達が(かつて私達が遊んだように)泥んこになりながら生物採取に楽しむ姿を再び見ることができた事に感動しました。息子や子供達に生物採集を教えながらも、むしろ私の方が懐かしみ楽しんでしまったのは言うまでもありません。

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こうして子供達が自然や生物に接する事、これが自然の大切さを理解する最高の機会だと思っております。その為にも私に何ができるかをいろいろ模索し考えているところです。
こうやって自然が残る環境があるからこそ、そこに生息する動植物たちが相互に影響し合って、この生態系が維持されております。生物の観察やふれあいを楽しんだら、速やかに元の場所に戻してあげましょう。そして生物の持込みも、持出しも生態系を崩す事になりますのでやめましょう。「とっていいのは写真だけ」「残していいのは足跡だけです」。たったそれだけを意識する事で、この生態系は維持されることでしょう。

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