★今月の1枚(2024年12月号)~高級珍味「カラスミ」作り~
- 2024/12/01 18:12
- カテゴリー:日記
初冬の一コマ。焼酎を塗って天日干し、これを毎日繰り返すこと1カ月。乾いた寒風に晒しながら丁寧に作り上げます。まさに「手塩にかけて育てる」に相応しい一品。
さて、これは何でしょうか?
「ボラの卵だ!」とお答えできた方は、かなりの「魚通」であり「食通」といえます。
ボラの卵を塩漬け塩抜きし、それを干して乾燥させたもの・・・、そう、あの高級な酒肴として珍重される「カラスミ」です。カラスミは、塩ウニ、コノワタ(※)とともに、日本の三大珍味としても知られております。
※)コノワタ=海鼠腸=「ナマコの腸」を塩漬けにしたもの。
さて、そんなカラスミの発祥は、実は日本・・ではなく紀元前古代ギリシャやエジプトなど地中海沿岸部といわれており、生モノを保存する方法として、塩蔵や天日干しなどが考えだされたようです。その後、地中海沿岸全域に広がり、イタリア、フランス、スペイン、トルコ・・・世界のアチコチで作られるようになりました。カラスミは、台湾では烏魚子「オーヒージー」、イタリアでは「ボッタルガ」などと呼ばれております。
では、日本におけるカラスミの歴史はというと、今から約450年前、安土桃山時代に中国から長崎に伝来したのがはじまりと言われており、江戸時代になって日本でも作られるようになり、幕府への献上物にもなっておりました。
カラスミ作りの時期は、ボラが卵をもつ晩秋~初冬頃に限定されます。この時期は、巷の魚屋さんでもボラの卵がずらっと並び、その黄色に満ちた売場光景には、買物客の興味をそそられます。カラスミ作りに必要なのは「塩」と「お酒」と「根気」だけ。手間ひまはかかりますが、決して難しくはありません。もしカラスミ作りにトライしてみたいなら、魚屋さんで買うもヨシ、自らボラを釣ってくるのもヨシ、何らかの方法で「ボラ卵」をゲットさえできれば、自家製で作ることもできます。
カラスミ作りは、大きく分けて5つのステップを踏みます。
1)血抜き処理、2)塩漬け、3)塩抜き、4)酒漬け、5)干し・・・約45日かけて、丁寧に丁寧にコツコツ仕上げていきます。当サイト(釣魚料理館/神奈川編)の18ページに掲載しております。
もしお正月に食べたいならば、逆算して11月下旬(遅くても12月上旬)には、作業に取りかかるとよいでしょう~。興味のある方は是非トライしてみてください。手塩をかけて育てた究極の一品、喜びもひとしおです。