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江ノ電
フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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★山陰里帰り★ 巨大ドンコ捕獲 *山陰のブチ怪物シリーズ*

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今回のお題は “ドンコ” です。山陰の里帰りの時に近くの川で捕獲したものです。

さて “ドンコ” といえば、どんこ椎茸(肉厚な椎茸)を連想する方が多いのではないでしょうか。
しかしそれが魚である場合、もしそこが東北であれば沿岸でよく釣れるエゾイソアイナメの事を意味し、西日本であれば淡水性の大型ハゼを意味します。またその他の魚でも地方名(別名)として使われる場面がちらほら…
このように “同じ呼名” であっても、実は全く “別の魚” である例は多々あり、特にこのドンコにおいては非常に誤解されやすい魚の一つであります。
“ドンコ“ という言葉の起源や本当の意味については知りませんが、(外見上からして)おそらく肉厚なものを形容するのに使われているのかもしれませんね。

今回、記事に書くのは後者のドンコ、つまり “西にいるドンコ” の事です。
生息分布上、少なくてもここ鎌倉にはいないし、関東でもあまり見かける事はありません。ただ西日本の河川には多く生息しているようで、カミさんの実家のある山陰地方(鳥取県大山町)の川でもよく見かけます。
私にとってドンコとは図鑑の世界でしか登場しない魚だったので、それ故に鳥取への里帰時に初めてこのドンコを捕った時の感動は今でも覚えております。ここにも多くのドンコが生息しますが、両手でおさまるような大型サイズを見るのは初めてだったので、ドンコを囲み撮影会になりました。

このドンコについて簡単に紹介しますと、
一般的にハゼの生活史は海と川を往来する種類が多い中、このドンコは完全淡水性の大型ハゼです。
魚類図鑑に載っている標準和名のドンコはこのハゼに該当しますので、(魚類上においては)これが本家本元のドンコと言ってよいでしょう。
外見的な特徴としては、全体的にはずんぐりむっくりな体型に黒色の大きなブチ模様、そして頭部は非常に大きく、口唇が分厚いのが特徴です。さすが肉食魚だけあって、口の中を覗くと尖った歯が何列も並び、それらの歯は全て内側に向いております。これは生きた魚を捕えるのに非常に適した形状になっており、一度ガブりと噛まれたら逃げる事ができません。また非常に貪欲なヤツで体長の半分ぐらいの魚であれば簡単に丸飲みしてしまいます。胸ビレは扇形で大きく、体を裏返してみると腹ビレは吸盤状ではなく完全に二つに分かれているのが特徴です。

頭部をはじめ、頬や眉間そして顎周りの筋肉が隆起し、まるで仁王像(金剛力士像)を思い浮かばせるような迫力ある形相でした。若いドンコは非常に愛らしい顔をしておりますが、ここまでの老成魚になると風格もそれ相応で、カッコ良く歳を重ねているな~と思いました。
撮影会が終わり、いよいよお別れ。ドンコは大きな胸ビレを波打たせ、私の手元から離れ深場へと消えていきました…。

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この本家本元をものにしたこのドンコという名も、それぞれの地方に行くと全く別の呼名に変わってしまいます。例えば、ここ鳥取地方ひとつとっても「ドンコが捕れました!」と言っても地元の人達は「ん?」と首をかしげ、バケツの中を覗いて初めて「あ~ボッカね」と皆が頷いてました。どうやらここではドンコ(標準和名)はあまり使われてなく “ボッカ” と呼ばれているようです。ややこしいなぁ…(オチ)。


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このドンコのお腹がパンパンなのは、決してノッコミ(産卵期で子持ち)だからではありません(因みにドンコの産卵期は夏季で、数カ月前には既に終わっているはずです)。捕獲時は、お腹がペチャんこでしたが、私の滞在期間中(4日間)、生け簀にこのドンコをはじめ釣ったタカハヤとカワムツなども入れて活かしておいたら・・・ご覧の通り(完食です)。さすが、この川の(お魚部門で)生態系の頂点に位置する大型肉食ハゼです。しかし、この川の生態系の頂点に君臨するのは、1メートルを超えるハンザキ(オオサンショウウオ)であって、そんな彼女の前では、この巨大ドンコですら餌になってしまうのです。

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そしてもう一つ感動したのは、ドンコの幼魚~成魚まで、様々なサイズが沢山いた事です。これは毎年ちゃんと子孫を残していて、繁殖環境も整っている証拠です。
これは当年生まれのヒヨッ子で、おそらく生後2カ月といったところでしょう。大きさはたった2センチほどですが、極小粒ながらも立派なドンコの姿をしております。この小さな川には多くのアシや水草が生茂り、これが幼魚にとって安全な環境と多くの餌を提供してくれる、いわばゆりかごのようなものです。こんな小さなプールでも様々な生き物が生息しており、まさに食うか?食われるか?の世界ですが、これらが互いに影響しあいながら絶妙なバランスで生態系が保たれているのですね。自然界ではごく当たり前な光景ですが、もし人間が(過剰に)入り込むと、この生態系の秩序はいとも簡単に壊れてしまうことをちゃんと理解しておかなければなりません。

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