鎌倉淡水魚紀行(砂押川編)~カワムツ(国内移入種)~
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カワムツのつがい(上:メス、下:オス/繁殖期は春~夏)。
鎌倉市内では、砂押川と小袋谷川に多く生息しております。
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大船という大都会のど真ん中で、川魚を観察できる癒しのスポットがあります。それは砂押川のプロムナード区間(大船郵便局付近)で、その立地上、多くの方が利用されお散歩コースとしても人気があります。砂押川とは、今泉にある鎌倉湖(散在ガ池)を水源とし大船地区を流れる川で、最終的にはJR大船駅の真下を潜り、柏尾川へ注ぎます(全長4.5キロメートル、河川規模としては滑川に次ぐ2番目に大きい)。
ここに棲む魚は、前回の梅田川編で登場したオイカワをはじめ、アユなども川を上ってきますが、今回はここ近年になって一際目立つようになった第3の魚「カワムツ」について、お話をしたいと思います。姿かたちは一見オイカワに似ておりますが、体には黒色の太い縦縞が入り、ヒレが黄色いのが特徴です。カワムツはオイカワ同様、日本古来の魚ですが、本来は西日本に生息する魚です。
アユ、ウナギ、ハゼに関しては、海と川を往来して生きていますので、海を介して生息域を変えることができます。しかし、このカワムツに関しては、一生を淡水域で生きる魚ですので、関東にまで生息域を広げることはまず不可能です。
今日、このように鎌倉の川にカワムツが泳いでいるということは、何らかの要因で人の手によって持込まれ、それが環境に適応し繁殖してしまったことが考えられます(国内移入種)。