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フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮き彫りにしていきたいと思います。自然や魚が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆様にとって何らかの情報になれば幸いです(月に1回/毎月1日に更新します!)。
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鎌倉淡水魚紀行(梅田川編)~まさかのアユ遡上~

20210828210457.jpg

<写真>
アユの乱舞(アユの食作法か?)
四方八方からの不規則な素早い動きでも、互いにぶつからないのが不思議でならない。

<本文>
梅田川で魚の観察をしていて驚いたことは、オイカワの他に多くのアユがいたことです。「アユが棲む鎌倉の川」、今や夏の風物誌として市民権を得た魚ではありますが、この梅田川のアユに関しては「よくぞここまで上ってきた」と特別な想いがあります。それは、多くの偶然と難所を乗り越え、海から遥々やってきたからです。
今回は、そんなアユの目線になって、川上りの旅をしてみましょう~。
まず、昨年の初冬に生まれた赤ちゃんアユたちは、沿岸域でスクスク育ち、春になると一斉に各河川を上り始めます。因みに梅田川のアユは、江の島に注ぐ境川河口(藤沢市)からエントリーします。境川を上ること藤沢地点で柏尾川との分岐点に差し当たり、柏尾川ルートを選んだアユたちは限りなく上流(横浜方面)へ向かいます。途中の大船地点につくと、梅田川に行くアユにとって最大の難所を迎えます。それは小袋谷川の流れ込み(東海道線の鎌倉踏切付近)のことで、落差と急流がアユを寄せつけませんが、それでも果敢に挑み続けます。
そして見事、難関を突破したアユたちは、支流の梅田川に入り、狭い水路を進み最終目的地となる観察場所に到着します(6月頃)。
そんなアユの賑わいもあと1カ月ほど、秋が深まる頃には、産卵のため海へ下ってしまうでしょう。

<ちょっとナゾ>
この猛暑の時期、日中の平均外気温が約33℃、水温でも30℃を超えてしまい、本来ですとアユが生きることができません。しかし「何故ここでアユが生きていけるのだろうか?」疑問に思いました。そこで今回は、猛暑が続く8月上旬に、上流域から観察ゾーンまでの5地点(A~E)の水温を計測したら、こんな事実が分かりました。

20221013162906.jpg

<計測条件>
時期(8月上旬)/天気(晴天)/外気温(33度)/時間(正午)

<測定結果>
A地点:上流域(貯水所近く)=水温26.5℃
B地点:交差点付近=水温29℃
C地点:三菱電機の入口=水温33℃
D地点:三菱電機の出口/観察ゾーン始点=水温26.5℃
E地点:観察ゾーン終点=水温28.5℃

もし何もなければ、この観察ゾーンは、水温30℃を超えてしまう状況です。
しかし、三菱電機の下を潜ることで、水温を下げていたのです。26℃台でしたらアユも何とか生きていける環境なのかなと思いました。暗渠(あんきょ)が一役買っているようです。

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